・・・三重県鳥羽市沖「衝突海難事故」について・・・
2月20日(金)1255頃、三重県鳥羽市沖(鳥羽市石鏡港第2号防波堤灯台から東、約6,4㌖付近)で貨物船「新生丸」(約499㌧、新生海運〔広島県呉市〕運航、6名乗組)がアジ釣りをしていた遊漁船「功成丸」(約16㌧、鳥羽市国崎町、乗船者13名)の右舷に衝突し、「功成丸」は船体が二つに折れ、乗船者全員が海に投げ出されて、うち2名の釣り客が死亡、船長ら10名が重軽傷を負った衝突海難事件についてです。

衝突事故発生海域図(推定)・国土地理院地図に著者作図
鳥羽海上保安部は、事故発生時、「新生丸」の船橋で操船に当たっていた二等航海士(21才)を業務上過失致死および業務上過失往来危険の容疑で逮捕した由。
事故当時の天候:曇り、視界良好、波高0.5m程度。

2026年2月20日1200天気図(出典:気象庁、過去の天気図より)・not edited.
事故発生海域の特徴
この海域は遊漁船がよく利用する釣り場だったようで、遊漁船「功成丸」は、国崎漁港を出港し、正午ごろから現場付近で錨泊?して釣りをしていたと報じられています。さらに、事故当時、周囲には他の遊漁船もいて、貨物船の接近に気付き汽笛を鳴らしたという証言もあります。
一方、貨物船「新生丸」は、愛知県衣浦港(きぬうらこう)から岡山県倉敷市の水島港(みずしまこう)に向かう途上で、水島港から衣浦港へ鋼材を運搬し、衣浦で荷揚げ後、水島へ向かっていたのではないでしょうか?・・・とすると、衝突時には空船状態で、¹バルバスバウ(球状船首)が海面上に出た状態で航行していたことも考えられ、古代の軍船の船首に取り付けてあった「衝角」(:ラム)の如く作用して「功成丸」が二つに折れてしまったことが考えられます。
¹バルバスバウ(球状船首):船の船首の水線下に突き出した球状の構造のことで、主な目的は、船が前進するときにできる波の抵抗(造波抵抗)を減らし、燃料消費量を減らしたり、巡航速力の向上に寄与する。
AIS/VHFの装備・作動状況
報道のみの情報では明確には分かりませんが、一般論からすると内航貨物船は普段、昼夜の別なく日本沿岸を走り回るため、499㌧型の貨物船でもAIS/VHFを装備している場合が多い。一方、専用遊漁船にあっては、殆どが昼間の営業で、時化の日や強風の日などには出船せず、航行は目視に頼っている(ただし、レーダーは装備している。)場合が多い。

AISの搭載義務(出典:国交省資料)・not edited.
- 遊漁船や小型船舶については、AISの搭載は現時点では義務ではないものの、安全対策の一環として任意に搭載している船もある。
即ち、現状ではAISを装備している船と、していない船が「混在」ているため、船舶が高密度で航行する「船舶ふくそう海域」や「港湾区域」などでは、情報の共有が充分なされていない。
「ふくそう海域」や「港湾区域」を定常的に航行する船舶に対しては設置を義務づける必要がある。
法定無線設備の搭載義務化


法定無線装置の搭載義務化の区分及び例(出典:国交省資料)・not edited.
任意設置のケース
- プレジャーボートや個人所有の小型船舶では、無線装置の搭載は義務ではなく任意に搭載している例がある。
- ただし、遭難時の通信手段として有効なため、安全対策としての設置が強く推奨されてはいる。
VHF使用のための資格と免許
- 無線従事者資格(最低限、第3級海上特殊無線技士の資格が必要:出力5㍗まで)
- 無線局免許(特定船舶局)(船ごとに必要で、有効期間は5年間)
〔著者注〕:法定無線設備の例中、海上で使用可能な無線設備として「MF無線電話」「27MHz帯無線電話」「400MHz帯無線電話」が挙げられていますが、海上で使うことはできるものの普及が限定的で、使い難い。船どうしのコミュニケーションツールとして、大型船でも使っている「VHF無線電話」が最適です。
事故調査
国交省「事故調査委員会」から「調査官」が派遣された由、「調査報告書」の公表を待ちたい。
MSJCについて
MSJC(More Safety Japan Coast)は「日本の海の安全・安心」を目標として、関係省庁や地方公共団体等に対し、意見の上申や提案をするグループで、NPOやNGOの類ではありません。
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