四方海話78

ー ときの話題 ー   §34

1 造船業界に動き?!

 ジンベイザメ(甚平鮫・恵比寿鮫)

 気になるニュース・話題心配ごと

➀ 6月の平均気温

➁  トカラ列島群発地震

 黒潮蛇行は継続中⁉

➃ イエメン・フーシ派、紅海航行船舶攻撃再開!

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1 造船業界に動き?! 

 先月(6月)末、日本の造船界最大手の「今治造船(株)」「ジャパンマリンユナイテッド」(JMU)を子会社化するというニュースがありました。

 今治造船(株)〈愛媛県今治市〉の2024年実績

 売上高は約4,431億円、前年から20%近く増加、竣工した船は70隻合計328万総トンで、大型コンテナ船、大型タンカー、大型バルクキャリア、カーフェリーなどのほか、デュアルフューエルエンジン(:二種類の燃料〈LNGと重油〉が使用可能な推進機関)を搭載した自動車専用船を完成するなど次世代技術の導入にも積極的です。

 ジャパンマリンユナイテッド(JMU)〈神奈川県横浜市西区〉の2024年実績

 売上高は約2,690億円で、前年から9.4%近くの増加、大型コンテナ船、大型タンカー、大型バルクキャリア、官公庁船、液化ガス運搬船など幅広い船種を建造しているほか、海洋構造物や再生可能エネルギー関連(洋上風力発電設備など)の建造にも積極的に対応しています。

 造船業界の苦境については、2年前に「四方海話34」で紹介しました。その後も日本の船舶建造量の国際シェアは低迷を続け、また受注量のシェアも減少しています。 

3表ともに出典は海事レポート2024〈国土交通省〉・not edited.

 そんな中で、3枚目の表を見ると日本の船主でも中国、韓国の造船所に建造を発注するケースが4割近く存在します。もちろん為替レートなども大きく影響すると思いますが、中国や韓国の造船所は、材料費や人件費が日本よりも低いため建造費を安くを抑えることができることと、造船所の規模の大きさと外国人労働者の雇用などにより、相対的に短期間で建造できる能力があるためだとされています。安くて早いのであればある程度そちらに流れるのは頷けますが、出来上がった船の品質やアフターサービスはいかがなのでしょうか! また、中韓両国では造船業が経済政策の一環として位置付けられ、政府からの多額の資金援助も受けているのだそうです。

 他方、6月19日、日本造船工業会の会長が川崎重工業の取締役会長から今治造船(株)の社長に交代しました。歴代の会長は大手の重工会社から選出していたところ、それ以外では初となります。国内造船業界の再興という大きな課題を背景に大いに期待されているところですが、新会長は、「世界造船市場のシェア20%を目指す」というビジョンを掲げ、これは、日本の造船業が再び国際競争力を持つための戦略の第一歩といえます。

 2024年の両社の新造船建造量は、今治造船が328万総トン(世界6位)、JMUが141万総トン(世界12位)でしたが、統合後は単純計算で469万総トンとなり、日本国内で約5割を占めることとなり、世界第4位の規模となります。

 日本の造船業界の持つ技術力は、ビジネス上の話にとどまらず、国際関係における重要な戦略的資産となっています。この「技術力のカード」が、日米関係のみならず今後の国際関係にどのような影響を与えるのか、引き続き注目していく必要があります。

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 ジンベイザメ(甚平鮫・恵比寿鮫)

アメリカ・ジョージア水族館で飼育中のジンベエザメ(出典:ウィキぺディア、)

CC 表示-継承 2.5 ジェネリックライセンス・ザック・ウルフさんの作品・not edited.

 現生の魚類の中では最大種(Max全長20㍍体重20トン)で、世界中の熱帯・亜熱帯・温帯の表層海域に広く分布していて、雄は日本近海に初夏から秋にかけて回遊して来ます。雌の個体は回遊性はなく、特定の海域に留まる傾向があるらしい。

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口を大きく開けて食事中のジンベイザメ(出典:ウィキぺディア、)

CC 表示-継承 2.5 ジェネリックライセンス・帰属:Schuetze77さん・not edited.

 ジンベイザメの特徴は体表の甚兵衛模様、大きな口と体の大きさの割に小さな目!動きは緩慢でおとなしいサメです。

 食性:主にプランクトンや小型の甲殻類、さらには小魚や魚卵、海藻を摂食します。濾過摂食という方法で鰓(えら)を使い、水とともに餌を吸い込み、鰓耙(さいは)というブラシ状の器官(ヒゲクジラのヒゲに相当する器官)で餌を濾し取って食べる。

 行動・移動特性:ゆっくりとした穏やかな泳ぎで、長距離の回遊や深海潜航を繰り返します。遊泳速度は通常約4km/h程度、必要に応じてMax約13km/hに達することもあり、年間で5,000km前後を移動する個体も報告されています。

 繁殖と寿命:繁殖は卵胎生で雌は胎内で卵を孵化させ、約60cmに育った稚魚を出産する(未解明ながら一回当たり300匹前後、出産場所は深海との説がある)。成熟に達するまで約30年、寿命は一般的に60–70年とされていますが、150年説もあります。

 保全状況と脅威:国際自然保護連合(IUCN)レッドリストで絶滅危惧種(EN)に指定され、ワシントン条約(CITES)附属書IIにも掲載され、保護の必要性が高い種として扱われています。現状、絶滅の危険が高くはありませんが、適切に規制しなければ絶滅の恐れがあるとされています。

 ジンベイザメの祖先:約6,000万年前(新生代古第三紀)に他のテンジクザメ目から分岐して登場したと考えられ、¹K-Pg境界で絶滅した大型の海棲爬虫類の²ニッチを埋める形で進化したものと推測されています。

 ¹K-Pg境界:約6,600万年前に起きた地球規模の大きなイベントのことです。この時期に地球上の75%を超える生物が絶滅したとされ、恐竜やアンモナイトなどもその犠牲になりました。このイベントは、中生代の白亜紀(K)と新生代の古第三紀(Pg)の間に発生し、最も有力な説は、メキシコのユカタン半島に巨大隕石(:チュクシュルーブ隕石、直径約10~15km)が衝突したことによるものと考えられ、衝突の影響で粉塵が大気中を覆い、太陽光が遮られて光合成が難しくなるような状態が数年間続いたとされています。

 ²ニッチ:生態学などで使われる概念で、生物が占める特有の環境条件や資源の範囲、つまりその種の「生態的地位」を指します。(例:ワシとフクロウ・ どちらも鳥類で小動物を捕食しますが、活動時間が異なることで共存しています。ワシは昼行性、フクロウは夜行性なので、お互いのニッチをうまく分け合っています)

 ジンベイザメの海洋生態系における役割

 ジンベイザメの巨大な体と独特の食性は、海洋環境全体に好影響を与えています。主にプランクトンや小魚を濾過摂食することで、栄養分が異なる海域間で混ざり合い、生態系のバランスの保持に貢献しているとし海洋の食物連鎖を支えています。また、移動が広範囲であるため、異なる生態系を繋ぐ「栄養循環の促進者」としての役割もあります。さらに、サンゴ礁周辺海域での捕食活動が特に活発で、サンゴの健康状態にもプラスの影響を与えているとも指摘されています。面白いことに、彼らの排泄物は栄養分が豊富で小さな生物や幼生にとっては重要なエサになっているそうで、ジンベイザメが残す生活残渣もまた海洋生態系の基盤を支える役割を担っていて、まさに資源を使い過ぎることなく環境を守りながら生きている「サステナブル」な存在と言えるのではないでしょうか。

 「ヨーヨーダイブ」は何のため?

 ジンベイザメの不可思議な生態として、NHKの番組でも紹介された謎の行動です。「外洋の海面と深海(1000㍍前後)を頻繁に行き来する」と言うもので、「ヨーヨーダイブ」と名付けられています。①体温調節説(:ジンベイザメは30℃以上の海水温が苦手だとして、体温を下げるために潜るとする説)、②長距離移動補助説(:海水より比重が重いことを利用し、沈みながら前に泳ぎ、体力を温存しているのだとする説)、➂寄生虫除去説(:体に付着した寄生虫を深海の高い水圧と低い水温を利用し死滅させ除去、清掃するとする説)、④餌探し説(:体が大きいジンベイザメは水温が低い深海でも体温が奪われにくく、また、最新の研究によれば、彼等の目は青色の光を効率的に吸収しやすいことが判明したことから食べ物を探すために深場に潜るのだとする説)がある。ジンベイザメの生態についてはまだ未解明の部分が多く、将来、研究成果の発表に大いに期待します。

 母なる海で、およそ6,000万年も進化し続けてきたこの魚の存在は「ウミガメ」とともに我々人類に何か重大なことを教示しているような気がしますが、読者諸氏はどう思いますか?

 ジンベイザメを見ることができる水族館(日本国内)

  • 海遊館(大阪府大阪市):太平洋をイメージした大水槽「太平洋」内で、複数頭のジンベエザメを飼育中。
  • いおワールド かごしま水族館(鹿児島県鹿児島市): 定置網で捕獲、保護された個体を長期飼育し、成長後に海へ還すプログラムを実施中。
  • 沖縄美ら海水族館(沖縄県国頭郡本部町) 世界有数の巨大水槽「黒潮の海」でジンベエザメを1~2頭飼育。最長28年の繁殖・飼育記録を誇る。

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 気になるニュース・話題心配ごと

 ➀ 6月の平均気温

上記の3表はいずれも出典は気象庁公表データ(https://www.jma.go.jp › jma › press › betten.pdf)・not edited.

 気象庁の説明では、「2025年6月は、日本全体で過去最高の平均気温を記録した月でした。平年値からの偏差は +2.34℃で、1898年の統計開始以来最も暑い6月となり、特に北日本、東日本、西日本では気温が顕著に高く、高温の傾向が続いています。偏西風が北寄り偏って吹いたため、太平洋高気圧が勢力を強め、日本全域に暖かい空気が流れ込んだことが主な原因である」とされています。「」内気象庁見解。

 他方、WAC(:Weather Attribution Center・今年5月に東京大学と京都大学の研究者有志によって設立された研究機関)は、2025年6月に記録された異常な高温について、「人為的な地球温暖化がなければ発生しなかった」と発表しています。

 ➁  トカラ列島群発地震

出典:海洋状況表示システム (https://www.msil.go.jp/)〈海しる〉の海底地形図を拡大・not edited.

上記2葉(地震活動の地震回数比較と震央分布図)は 7月4日、地震調査研究推進本部
地震調査委員会(文部科学省所管)発表の資料からの抜粋)です。・not edited.

 トカラ列島、悪石島付近の海底地形図をみると、山頂が海面上に現れていない(=島になっていない)多くの海山があることが判ります。地震学や火山学については素人ですが、これらの海山は、かつて溶岩の噴出があった名残りですからこの海域の海底下に大きなマグマ溜まりが存在すると考えるのは飛躍しすぎでしょうか?群発地震の発生はマグマ溜まりのマグマが海底下にある断層を破壊つつ、出口を求めて上昇しているのではないかと思うのですが?

 同じ琉球列島火山帯の諏訪之瀬島では既に噴火が始まり噴煙が上がっています。姶良(あいら)カルデラや喜界(きかい)カルデラのような破局的噴火には至らないにしろ、震源域のどこかで蒸気やマグマを噴出させて圧力が抜けるか、あるいは、相当の断層活動や地殻変動によりストレスを分散しないと収まらないような気がしますが?

  黒潮蛇行は継続中⁉

 上の図は、気象庁の気象観測船「凌風丸」が、7月3日~5日の間に海流観測した結果を解析した黒潮流路。・not edited.

下の図は海上保安庁海洋情報部が発表した7月9日の海流図です。・not edited.

 気象庁は今年5月初旬、「黒潮大蛇行は収束の兆しがある」と発表しましたが、両図を見る限り「蛇行」はまだまだ健在のようです。

➃ イエメン・フーシ派、紅海航行船舶攻撃再開!

 パレスチナのイスラム組織「ハマス」との連帯を掲げるイエメンの反政府武装勢力「フーシ派」は、7月7日、紅海の入り口「バブ・エル・マンデブ海峡」周辺での一般商船への襲撃を再開しました。

  • リベリア船籍の貨物船「マジック・シーズ」号
  • リベリア船籍の貨物船「エタニティC」号 

 の2隻が襲われ、両船とも沈没し死亡・行方不明者も出ているようで、紅海周辺での船舶航行に対する懸念が高まっています。

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四方海話78 ー ときの話題 ー §34  終わり

次回は四方海話79 ー ときの話題 ー §35 です。

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