ー ときの話題 ー §31
Ⅰ A23aが座礁した⁉
Ⅱ 2024年は史上最も暑い年だった!
Ⅲ 「ベレムナイト」ってなんだ⁇
広告
日本茶や抹茶スイーツの通販なら【祇園辻利・茶寮都路里オンラインショップ】
Ⅰ A23aが座礁した⁉
世界最大の氷山「A23a」については「四方海話52」で紹介しましたが 、その後漂流を続け「サウスジョージア島」(英領、南緯54度30分、西経37度)に接近、島の岩礁地帯の縁に座礁したらしいとの報道がありました。

サウスジョージア島の位置(画像上部右の細長い島)
(著作者:キコスさん・出典:ウィキぺディア、クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植ライセンス)・not edited.
「A23a」は、元は南極の「フィルヒナ―・ロンネ棚氷」から1986年に分離したものが、約35年間「ウェッデル海」の奥の浅瀬に引っかかって動けなかったのですが、2020年になって俄かに漂流し始めました。その後、2023年11月頃には「南極半島」の沖を通過、北東方向へ漂流し、今年(2025年)3月4日、サウスジョージア島付近(海岸から約73㎞)に漂着、座礁したものです。漂流が始まった当時、面積が東京都のおよそ2倍、氷の厚さが約400m、重量は約1兆トン(推定)とも伝えられていましたが、漂流中にかなり減量したものと思われます。

サウスジョージア島に接近中のA23a氷山・2025/2/19・衛星写真(出典:ウィキぺディアA PD)・not edited.
画面の左中央にA23a氷山・右上にサウスジョージア島
著作:NASA GSFC MODIS陸上迅速対応チーム Iceberg A23A Approaching South Georgia Island
サウスジョージア島では、別名「南極のガラパゴス」などと呼ばれるほどいろいろな動物が生活していて、キングペンギン、マカロニペンギン、ジェンツーペンギンの繁殖地となっている他、ミナミゾウアザラシ、ナンキョクオットセイの「コロニー」や、アホウドリ、ヒメウミツバメなど海鳥の営巣地にもなっている。また、近海ではシロナガスクジラ、ナガスクジラ、ザトウクジラなどのヒゲクジラの仲間が頻繁にみられるそうです。

サウスジョージア島のキングペンギンのコロニー(繁殖地)・茶色の羽毛は幼鳥
(出典:ウィキぺディア・クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植ライセンス・帰属:Pismireさん)・not edited.
A23aは、元々が棚氷で、南極大陸の氷河が海にせり出してできた氷の塊ですから、大陸のミネラル成分が多く含まれ、融解が進むと海水と混ざり合って「オキアミ」などの増加に好影響を与え、ヒゲクジラ等の餌が増えるとされる一方、面積が大きいため海中に差し込む太陽光が遮られ、海藻類の生育が阻害されるのではないかとの指摘もあります。生態系にどのような影響があるのかは好悪両論があり、現状での予測は難しい。
広告
Ⅱ 2024年は史上最も暑い年だった!
国連の世界気象機関(WMO)の発表によれば、昨年(2024年)は観測史上最も暑い一年で、世界全体の気温が産業革命以前と比べて1.55℃上昇したことを確認したとしています。(2025年1月21日付け、国連広報センター・ニュースプレス「2024年は史上最も暑い年に」参照)
以下、「2024年は史上最も暑い年」であることが確認されたことに対するグテーレス国連事務総長の声明です。
本日、世界気象機関(WMO)が発表した評価は明白です。地球温暖化は紛れのない、厳然たる事実なのです。
私たちは観測史上最も暑い10年を耐え抜いたばかりです。2024年はその中で最も高く、世界全体の平均気温が産業革命以前の水準と比べて1.5℃を上回った最初の暦年となる可能性があります。
単年で1.5℃の上限を突破したとしても、長期的な目標が達成できなくなったわけではありません。軌道に戻るためには、さらに懸命に闘う必要があるということです。
2024年の猛烈な暑さに対しては、2025年に先駆的な気候行動を起こすことが必要です。
具体的には、世界全体の長期的な気温上昇を1.5℃に抑え、最も脆弱な立場に置かれた人々が壊滅的な気候変動の影響に対処するのを支援するため、各国政府は今年、新たな国別気候行動計画を策定しなければなりません。
気候変動による惨禍の最悪の事態を回避する時間はまだ残されています。しかし、指導者たちは行動を起こさねばなりません ― 今すぐに。(原文のまま)
一方、日本でも1.5℃以上の上昇には至らなかったものの、気象庁から下図が発表されています。

日本の年平均気温の基準値からの偏差(出典:気象庁HP)・not edited.
他方、2024年の日本近海の海面水温については、気象庁から「2024年の日本近海の年平均海面水温が過去最高を更新」したとして臨時診断表(令和7年3月5日 付け)が発表されています。
以下、気象庁の臨時診断表の抜粋です。
2024年の日本近海の年平均海面水温の平年差は+1.44℃で、統計を開始した1908年以降で最も高い値となりました。

| 日本近海の全海域平均海面水温(年平均)の平年差の推移と順位表 図の青丸は各年の平年差、青の太い実線は5年移動平均値、赤の太い実線は長期変化傾向(この期間の平均的な変 化傾向)を示す。平年値は1991年~2020年の30年間の平均値。 |
日本近海の平均海面水温(年平均)の平年差の推移(出典:気象庁HP)・not edited.
2024年の海面水温と長期変化傾向
2024年の日本近海の年平均海面水温の平年差は+1.44℃となり、記録的に高かった2023年の+1.10℃を大きく上回り、統計を開始した1908年以降、最も高くなりました。
長期的にみると、日本近海の年平均海面水温は、100年あたり+1.33℃の割合で上昇しています。これは、二酸化炭素などの温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化の影響と考えられます。最近5年(2020~2024年)の年平均海面水温はすべて歴代5位以内であり、近年このような記録的な高温が発生しやすくなっています。
2024年の海面水温の経過
2024年は、日本海や北海道南東方、本州東方では、年間を通じて概ね平年より海面水温がかなり高い状態が続きました。一方、北緯35度以南の海域では、1月から2月は広い範囲で海面水温が平年より高く、かなり高い海域も見られましたが、3月は平年より高い海域が縮小しました。4月は海面水温が平年よりかなり高い海域が拡大し、5月から6月にかけては海面水温が平年よりかなり高い海域がやや縮小しましたが、7月から11月にかけては概ね海面水温が平年よりかなり高くなりました。12月は海面水温が平年よりかなり高い海域が縮小しました。
年平均海面水温が高くなったのは、日本付近が暖かい空気に覆われやすかったことに加え、2023年春頃から黒潮続流(日本南岸に沿って流れる黒潮の、房総半島以東の流れ)が三陸沖まで北上し続けている影響や、高気圧に覆われて平年より日射量が多かった時期があったことが要因と考えられます 。また、日本海で対馬暖流の勢力が強い時期が多かったことや、沖縄近海で平年より風が弱い時期があったことなども寄与したと考えられます。
2025年以降の海面水温の状況と今後の見通し
2025年1月に入っても、日本海北部の海面水温が解析値のある1982年以降で1月として最も高くなるなど、日本海北部や北海道南東方、本州東方を中心に海面水温が平年よりかなり高い状態が続いています。3月にかけても、これらの海域では引き続き海面水温が平年より高めで推移すると見込まれています。日本近海の海面水温は日本の天候と互いに影響しあっているだけでなく、水産資源の分布などに関連する海洋環境へも影響しており、今後も継続した監視が必要です。(気象庁「臨時診断表」より)
今年(2025年)はこのまま経過すると、2024年にも増して暑い年になりそうです!
世界中の指導者と呼ばれる人達は気候変動から目を逸らすことなく、対策をお願いします。自国の利益の追求や戦争に明け暮れているときではありません!
地球そのものや人類の危機が迫っているのかも知れないのです!
広告
Ⅲ 「ベレムナイト」ってなんだ⁇
約2億3,000万年前の三畳紀前期に出現し、その後、ジュラ紀から白亜紀にかけて繁栄、約6,600万年前の白亜紀末(K-Pg境界)に絶滅したとされる現在のイカに似た軟体動物門・頭足綱の分類群(イカ、タコ、オウムガイなど)に属するとされる古代海洋生物です。

ベレムナイトの化石の画像(ドイツで発見されたもの)
(出典:ウィキぺディアクリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植ライセンス)・not edited.
(著者:ゲドゲドさん)
この化石で興味を引くところは、体の尾部の内骨格に鞘(さや:ロストラム)と呼ばれる弾丸の形をしたカルサイト(方解石:主成分は炭酸カルシウム・CaCO₃)が存在することで、海中での浮力の調整や体の安定性を保つ機能があったとされていることです。

小型のベレムナイトの鞘(さや)の化石(ヨーロッパ産)
(出典:ウィキぺディア PD 著者:ウィルソン44691さん)・not edited.
1991年にアマチュア収集家(高泉幸浩氏)が宮城県本吉郡南三陸町(旧歌津町館崎)の大沢層と呼ばれる地層(約2億4800万年前の地層)で発見したベレムナイトの化石を東北大学などで分析した結果、新種であるとともに世界最古(従来からの定説から一千万年以上も遡る。)であることが判明したとして話題になりました。「トウホクベルス・タカイズミ」と名付けられたこのベレムナイトは鞘の部分が約4㎝、体長は約20㎝ほどだったと推定されています。日本では「天狗の爪貝」「矢石」と呼ばれ、化石として残りやすい「鞘」(さや:ロストラム)の部分が稀に発見されその存在は知られていたようです。
南三陸町の歌津(旧歌津町)では、ベレムナイトと同じ時代に生きていた歌津魚竜「ウタツサウルス」(長さ3m程)の化石も発見され、ベレムナイトはウタツサウルスの餌になっていたらしい(ウタツサウルスの化石の胃の中にベレムナイトの「足の爪」の化石が多数見受けられた由。)のですが、とすると食べられたベレムナイトの固い「鞘」はどこに行ってしまったのでしょう?
ウタツサウルスは捕まえたベレムナイトを噛み砕き細い口先で選り分けて硬い「鞘」の部分は吐き出していたのでしょうか、それともウタツサウルスの胃の中の消化液は固い「鞘」を消化できるほど強力だったのでしょうか⁇

ウタツサウルスのイラスト画像
(出典:ウィキぺディア クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 4.0 国際ライセンス)・not edited.
(著者:田村 ノブさんhttp://spinops.blogspot.com/ http://paleoexhibit.blogspot.com/)
ベレムナイトの外見からすると現代のヤリイカが近いようですが、K-Pg境界の大絶滅の際にほぼ完全に死に絶えたそうですから、ヤリイカなど現存するよく似ている生物は直系の子孫ではなく、共通の祖先を持つ別の進化系統から分化したものなのだそうです。
ヨーロッパの研究者達は、ベレムナイトはジュラ紀初期にヨーロッパ地域に現れ、後に世界の海に広がって行ったと考え、中国産の後期三畳紀のベレムナイトは疑問視あるいは半ば無視されていたものが、北海道大学の研究グループは、南三陸の地層からのベレムナイト化石の発見と中国での発見とを再検討し、ベレムナイトの発生が三畳紀初期の遡ることと、その起源が東アジアにある可能性があることを主張しています。
広告
四方海話73 ー ときの話題 ー §31 おわり
次回は 四方海話74 ー ときの話題 ー §32 です。

コメント