四方海話72

ー ときの話題 ー   §30

Ⅰ 今冬の寒波の原因は?

北極振動と極渦(きょくか・きょくうず)

Ⅱ ラニーニャ現象はドーなった?

Ⅲ 国連タジタジ・トランプ大統領旋風、1.5℃の約束は⁉

広告

日本茶や抹茶スイーツの通販なら【祇園辻利・茶寮都路里オンラインショップ】

今冬の寒波の原因は?

 天気予報で、この冬の寒波についての説明に聞きなれない用語が出てきました。「負の北極振動」「極渦」など、平年の冬にはあまり聞いたことはないように思うのですが、これも気候変動の影響によるものなのでしょうか?気になったので調べてみました。

 1 北極振動 

 米国の気象学者により、最初に「北極振動」が提唱されたのは、1998年のこととされています。彼らは、北半球(北極と北半球中緯度地域〈日本近海を含む〉)の海面気圧の月平均の平年からの偏差を統計学的手法(主成分分析)を用いて分析することにより、その変動の主成分を取り出すことができることを発見しました。この変動は冬季により顕著に表れ、赤道付近のエルニーニョ・ラニーニャ現象や南半球での南極と南半球中緯度間の気圧が逆の傾向に変動する現象(南極振動)も確認されていて、テレコネクション(大気振動)の一種として気象学者の研究の対象となっている由。

 北極での海面気圧が平年値より高いときには中緯度地域の海面気圧は平年に比べ低くなるという逆相関の関係にあり、そのデータを蓄積し、月毎のデータとして取りまとめたうえで主成分分析し、結果として得られる偏差の大きさを北極振動指数(AOI:Arctic Oscillation Index)とし、その正負により北極振動の強さや影響が判断されます。 

北極振動の模式図(出典:ウィキペデア)・not edited.

(著者:NOAA【米国海洋大気庁 – 太平洋海洋環境研究所】)

 北極振動指数が負のとき(上)

 ジェット気流が弱くなり大きく蛇行、北極地域からの寒気の南下が活発化し、その結果、中緯度地域(日本付近を含む)では寒気が南下しやすくなり寒冷な気候が多くなる。

 北極振動指数が正のとき(下) 

 ジェット気流が強くなり、北極地域からの寒気の南下が抑えられる。中緯度地域では寒気が南下しにくく、暖冬となることが多い。

 2 極渦(きょくか・きょくうず)

 極渦は、両極の上空(成層圏・中間圏)に形成される大規模な低気圧とそれを取り囲む強風域を指し、特に冬季に発達して極地上空に寒気を閉じ込める一方、極渦が弱まると寒気が中緯度地域に流れ出し、大規模な寒波をもたらすことがあります。下図は、2013年~2014年にかけての北極域の極渦の状況(米国海洋大気庁資料)ですが、2014年1月上旬、北米大陸は非常に強い寒波に襲われました。この寒波は、2013年12月から続いていた寒冷な状態の延長であり、特に2014年1月には北米の大部分が影響を受けました。このような極端な寒波は、気候変動や中長期的な気温変動の傾向とは無関係であり、いくつかの力学的・熱力学的要因が重なって発生する一時的な現象だとされています。

500hPa高度に現れる対流圏の極渦。左は等高度線が同心円状のもの、右は波打っているときのもの。

「対流圏の極渦の変動」(出典:ウィキぺディア PD)・not edited.

(著者:NOAA【米国海洋大気庁 – 太平洋海洋環境研究所】)

北米が寒波に見舞われた2014年1月、寒波の開始までの1か月間の10hPa等圧面気温とその偏差(11日移動平均)。

成層圏極渦の伸長に伴い、北米は赤い高温偏差から青い低温偏差へ変わっている。         

著者 NOAA / 国立気象局 / 国立環境予測センター / 気候予測センター インターネットチーム 

(出典:ウィキぺディア PD)・not edited.

 極渦は、地球以外の太陽系天体(金星、火星、木星、土星〔衛星タイタンを含む〕、天王星、海王星)でも確認されているそうです。 冥王星については、大気も非常に希薄で極渦が存在する可能性は低いと考えられていますが、将来の探査や研究によって存在が確認される可能性があります。

 気候変動が進行する中、北極振動や極渦の変動が異常気象の発生に影響を与えることが指摘されています。例えば、地球温暖化により北極域の気温が上昇するとジェット気流が蛇行しやすくなり、異常気象が増加する可能性があるとされています。

広告

羽田空港公式オンラインショップ!

Ⅱ ラニーニャ現象はドーなった?

 去年(2024年・令和6年 )6月のエルニーニョ監視海域の月平均海面水温の偏差はほぼ±0℃で、その後の数値も下降傾向でしたので、このままで推移するとラニーニャ現象に向かうものと思っていましたが・・・?。

 気象庁の最新(令和7年2月10日)の「エルニーニョ監視速報(№389)」では

  • エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られるが、ラニーニャ現象に近い状態となっている。
  • 冬の間はラニーニャ現象に近い状態が続くが、次第に弱まるため、ラニーニャ現象の定義を満たすまでには至らず、夏にかけて平常の状態が続く可能性が高い(60%)。

エルニーニョ監視速報(№389)(出典:気象庁HP、原文のまま)

という見解でした。

エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値の実況と予測を示した時系列グラフ

エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差の5か月移動平均値

11月までの経過(観測値)を折れ線グラフで、大気海洋結合モデルによる予測結果(70%の確率で入ると予想される範囲)をボックスで示している。指数が赤/青の範囲に入っている期間がエルニーニョ/ラニーニャ現象の発生期間である。エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値はその年の前年までの30年間の各月の平均値。

(出典:気象庁HP)・not edited.

 エルニーニョ現象については、その発生や強さに地球温暖化が影響している可能性が指摘されているものの、ラニーニャ現象に至らない理由が地球温暖化の影響によるものかどうかについては、専門家の間でも意見が分かれているそうで、今後のデータの蓄積と研究の進展を待つしかなさそうです。

広告

お名前.com

Ⅲ 国連タジタジ・トランプ大統領旋風、1.5℃の約束は⁉

 パリ協定は、2015年にフランスのパリで開催された第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において採択された国際的な気候変動対策の枠組みです。パリ協定には、気候変動枠組条約に加盟する全196カ国が参加し、世界の平均気温上昇を産業革命以前と比較して2℃未満に抑えることを目指し、さらに1.5℃未満に抑える努力を追求することを目的としています。トランプ大統領はこの協定からの脱退を決定しました。 

 トランプ大統領の政策が国連の1.5℃の約束に与える影響については、大きな懸念があります。特に、パリ協定からの再脱退や化石燃料の使用促進(国家エネルギー非常事態宣言)、電気自動車推進政策の終了などの政策は、締約国各国が真摯に取り組んでいる気候変動対策の方向性に逆行するものです。

 気候変動対策は国際的な協力が重要かつ不可欠であり、相手が地球規模の自然現象である限り、各国が連携し、団結して取り組むことが求められています。トランプ大統領の政策がどのように影響するかは今後の展開次第ではありますが、国連や他の国々が粘り強く努力し続けていくことが肝要です。

 アメリカの「パリ協定」からの離脱について、グテーレス国連事務総長は「アメリカ国内の都市や州、企業が他の国々とともに、低炭素で強じんな経済成長に取り組み、引き続きビジョンとリーダーシップを発揮することを確信している。アメリカが環境問題のリーダーであり続けることは極めて重要だ」として、トランプ新政権がパリ協定から離脱しても、アメリカの州政府や企業のレベルで温暖化対策が続くことに期待を示しています。 

 下図は、今年(2025年〔令和7年〕2月18日に閣議決定され公表された日本の「地球温暖化対策計画の概要」で、UNFCCC(気候変動に関する国際連合枠組条約)事務局に提出されました。

地球温暖化対策計画の概要(出典:気象庁公表資料)・not edited

広告

A8.netの公式ページ

四方海話72   ー ときの話題 ー   §30  おわり

次回は 四方海話73  ー ときの話題 ー  §31 です。

 

 

コメント

四方海話をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む

タイトルとURLをコピーしました