ー ときの話題 ー §38
1 船舶建造量倍増計画(2035年までの目標)
2 SDGs報告2025(国連年次報告)
3 気になるニュース・話題・心配ごと
⑴ 地球温暖化による水産物への影響
⑵ トカラ列島群発地震域の海底調査
⑶ MSJC
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1 船舶建造量倍増計画(2035年までの目標)
四方海話78で、「造船業界の再編の動き」についてお伝えしましたが、そのあと押しで「日本政府は国内造船業の年間建造量量を2035年までに現在の約910万総トンから約1,800万総トンへ倍増させ、世界シェアを10㌫強から20㌫へ引き上げる方針」を打ち出しました。


上記2図の出典:「船舶産業の変革ロードマップに基づく取組の進捗状況について」(国交省海事局)・not edited.
用語の説明
- CN対応船:「カーボンニュートラル(Carbon Neutral)対応船」の略で、CO₂などの温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指した船舶のこと。
- アンモニア燃料船:船を動かす機関の燃料として、従来の重油とアンモニアを混合してシリンダの中で燃焼させN₂O排出を抑制を目指す船のこと。2026年以降、大型機関の実証運航を開始予定。
- 国際海事機関(IMO)は、2050年を目標として船舶からの温室効果ガス(GHG)排出を実質ゼロにする長期戦略を採択(2023年7月)しました。主な脱炭素燃料としての候補は次のとおりです。
- アンモニア
- メタノール
- LNG(液化天然ガス)
- 水素
- バイオ燃料
- ウィンドアシスト(補助推進力として風力を利用)
- 国際海事機関(IMO)は、2050年を目標として船舶からの温室効果ガス(GHG)排出を実質ゼロにする長期戦略を採択(2023年7月)しました。主な脱炭素燃料としての候補は次のとおりです。
- GX経済移行債:GX(グリーントランスフォーメーション)推進法に基づき日本政府が発行する世界初の「トランジションボンド型国債」(移行期向け国債)のことで、脱炭素社会への移行を支援するための資金調達手段となります。
- K Program:日本の経済安全保障を強化するために創設された国家主導の研究開発支援制度(経済安全保障重要技術育成プログラム)のこと。先端技術(AI、量子技術、宇宙・海洋技術など)国家の競争力や安全保障に直結する技術を対象としています。
- DXオートメーション:デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するための自動化技術やプロセスの活用を指す言葉です。単なる業務の効率化ではなく、企業や組織の根本的な変革を目指すDXの中核をなす要素として位置づけられています。
- バーチャルエンジニアリング:船舶建造についての企画・設計から製造・検証に至るまでのプロセスを仮想空間(デジタル環境)で行う手法のこと。
船舶建造量倍増計画についての来年度の概算要求額
国土交通省海事局は、「造船業の強化を含む海事クラスターの競争力強化・生産性向上」に対して、約6億9,300万円を計上しています。これは前年度比で約2.45倍の増額要求となっています。また、日本と同じく造船業界の衰退に見舞われているアメリカに対する「日米協力分野」の支援額については、現時点では「事項要求」とされていて、具体的な金額は未定です。一方、日米両政府は5500億ドル(約80兆円)にのぼる対米投資に関する覚書に署名し、アメリカの造船業界もその対象となっている由。
- 海事クラスター:海運業や造船業を中心に、舶用工業、港湾運送、金融、保険、法務など、海に関わる多様な産業分野のこと。
最大のネックは造船業界の国内就労者数の減少!
大手企業が相次いで造船事業を縮小、多くのドックが閉鎖しました。近年の国内就労者数は、2010年頃から2014年までは約8万人前後で推移していたものが、2022年には約6万人に減少しています。
減少した分を取り戻して「人材の確保」と言っても容易ではありません。造船現場での相手は主に「鉄板」です。切ったり、曲げたり、伸ばしたり、繋げたりと、設計者からの要求に沿っての物造りには高度な技術が必要なのは言うまでもなく、人数を集める以上に「技術の伝承」が必要になります。熟練工と呼ばれる人達は短期間では育ちません。それをどう乗り越えるか!が大きな課題です。

日本の造船業の就労者数等の推移
(出典:国交省海事局「造船業・船舶工業の現況」)・not edited.
DXオートメーションや協業によるモジュール化、外国人労働者の受け入れなどにより人材不足を補い、2035年までの10年間で建造量を倍にする!このビジョンには拍手を送り、大賛成です!
国交大臣からは、9月19日の記者会見で今秋を目途に本件に係る「施策内容を盛り込んだロードマップ」を公表する旨の発言があったとのニュースがありました。大いに期待しましょう!
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2 SDGs報告2025(国連年次報告)
今年7月に国連が発表した「SDGs報告2025」は、2030年アジェンダの折り返し地点を越えた今、残りの5年間で何をすべきかを示す重要な指針となっています。
- 2030年アジェンダ:2015年に国連で採択された国際的な行動計画で、名称を「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」= SDGsを中心にした国際的な持続可能な開発のための行動計画を指す。
現在の状況
- 順調に進展している:18㌫
- 中程度進展している:17㌫
- 進展していない:17㌫
- 後退ししている:18㌫
すなわち、半数以上のターゲットが停滞または後退しているという現状が明らかになりました。
進展した分野
- 通信・インターネット:世界人口の68㌫が利用可能になった。(2015年は40㌫)
- 電力アクセス:世界人口の92㌫が電力を利用可能になった。
- 保健・衛生:HIV新規感染者数が2010年比で約40㌫減少した。
- 教育:1億1000万人の子ども・若者が新たに就学することができた。
- ジェンダーに係る法律の改正・新法の成立:参加各国で計99件の前向きな法改正が実施された。
- 生物多様性保全:保護区域が10年前の2倍に拡大した。
深刻な問題
- 極度の貧困層:8億人以上が依然として極貧状態にある。
- 水・衛生:22億人が安全な飲料水を利用できず、34億人が衛生設備を利用できていない。
- 気候変動:2024年の平均気温は産業革命前比で+1.55℃、観測史上最も暑い年となった。
- 難民・強制移住:1億2000万人以上が移住を強制されている。
* 2024年の平均気温は産業革命前比で+1.55℃ ⇒ 「1.5℃の約束」は既に超過!
今後5年間の重点分野(国連の提言)
- 食料システムの改革:単なる農業技術の改善ではなく、生産・流通・消費・廃棄までを含む包括的な構造転換をが必要とされている。
- エネルギーアクセスの拡充:約6億6600万人が電力を使えない状況にあり、特にサハラ以南のアフリカ地域が深刻である。
- デジタル変革の加速:単なる技術導入のみならず、社会全体の構造を変える力としてのデジタル活用を意味している。
- 教育機会の拡大:子供達が無理なく学校に通えるようにするだけではなく、全ての人が質の高い教育を受けられるようにするため包括的な改革が必要とされている。
- 雇用と社会保障の強化:雇用の創出だけではなく、全ての人が人間らしい働きがいのある仕事に就くこととと生活保障を得られる社会の構築を意味している。
- 気候・生物多様性対策の統合:例として、太陽光パネル設置のための森林伐採はCO₂削減には貢献するが生態系は破壊されてしまう。反対に、森林や湿地の保全は CO₂の吸収と生物多様性保全の両方に貢献することができる。つまり、「片方だけ」の対策では不十分で、両方を同時に改善する統合的な対策が求められている。
日本政府の今後の方向性


持続可能な開発目標(SDGs)に関する自発的国家レビュー(VNR)報告書
(出典:内閣府・外務省資料)・not edited.
用語の説明
- 自発的国家レビュー(VNR:Voluntary National Review):国連加盟国が自国のSDGs(持続可能な開発目標)達成状況を自主的に報告する制度で、国連のハイレベル政治フォーラム(HLPF)で発表され、各国それぞれの進捗状況や課題、今後の方向性を共有する場となっています。
- GREEN×EXPO 2027:2027年3月から9月にかけて横浜市で開催される国際園芸博覧会のこと。
- ウェルビーイング:身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念。SDGs(持続可能な開発目標)でも「すべての人に健康と福祉を」が掲げられていて、ウェルビーイングはその中心的な価値感です。
- UHC推進:ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)推進とは、全て人が、必要なときに、支払い可能な費用で、質の高い保健医療サービスを受けられる状態を目指す取り組みのことです。
- WPS:Women Peace and Security(女性・平和・安全保障)の略で、2000年に国連安全保障理事会で採択された決議に端を発する国際的な枠組みのこと。紛争や災害などの影響を受ける女性・女児の保護だけでなく、 彼女たちを平和構築の主体者として位置付け、紛争予防、和平交渉、復興、ガバナンスなどのあらゆる段階で 女性の平等な参画を促進するとしています。
日本での「ポスト SDGs」議論
ポストSDGs議論の現在地は「概念の形成段階から具体化への段階に至る移行期」にあると言えるでしょう。2030年以降の国際目標の枠組みづくりを巡って政策立案者、企業、市民社会、学会が並行的に議論・試行を進めています。主要な論点は①「ウェルビーイング」➁「公正なトランジション」➂「技術とルール形成」④「資金と実行力」➄「測定とアカウンタビリティ」の5点に絞られています。
①「ウェルビーイング」:ー用語の説明参照ー
➁「公正なトランジション」:気候変動対策や脱炭素社会への移行を進める際に、社会的・経済的に弱い立場の人々や地域を取り残さず、公平で包摂的な方法で進めることを目指す考え方。
➂「技術とルール形成」:ポストSDGsの議論において未来社会の持続可能性を左右する重要な柱のひとつで、単なる技術革新だけではなく、新しい技術をどう使い、誰が恩恵を受けるかを決めるルールづくりを含んでいます。
④「資金と実行力」:ポストSDGsや持続可能な政策を「計画」から「実行」へ移すための資金動員手段と、それを確実に使って、成果を出すための制度・組織・能力の総体を指します。理念を現場に落とし込むための「資金の供給源」と「実行の仕組み」の両輪が必要となります。
➄「測定とアカウンタビリティ」:政策やプロジェクトの目標達成度を正確に測り、公的機関・企業・市民など関係者が説明責任を果たすための一連の仕組みと実務を指します。指標設計~データ収集~評価~公開と是正のサイクルが核となります。
米国のMAGA(Make America Great Again)政策が国連主導の「SDGs」に逆風をもたらしているいま、日本の役割はますます重要になってきています。
1. 多国間主義の再構築に向けた仲介役
MAGA政策は、国連や国際協調への関与を後退させていますが、日本はWTOや地域フォーラムでのルール強化や緊急協議メカニズムの構築を通じ、多国間主義の再活性化に貢献できる道を探っています。
2. ポストSDGsの設計における主導的貢献
日本の経団連は、ポストSDGsの枠組み設計に向けて企業行動憲章を改定し、科学的根拠に基づく目標設定や「プロセス・構造」目標の導入などを提案しています。これは、2030年以降の国際目標の再構築に向けた日本の知的貢献の一例ということが言えます。
3. ¹ESG(Environment Social Governance)・²DEI(Diversity Equity Inclusion)の再定義と地域実装
日本は米国の政策に対抗する形で、企業の持続可能な経営の統合を進めていて、2024年時点で「経営に統合した」と答える企業は77%に達しています。これは、国際的な価値の再定義において、日本が「文化的インフラ」(人々の暮らし・価値観・創造力・共感力を支える文化的な土台)を提供できる可能性を示しています。
- ¹ESG:「環境・社会・企業統治」の三つ視点で企業の持続可能性や長期的な企業価値の伸張性を評価する指標のこと。
- ²DEI:企業や組織が「多様性(性別、年齢、国籍、価値観など、さまざまな違いを尊重する)・公平性(各個人の個性を尊重し必要な支援や機会を提供する)・包括性(誰もが組織に受け入れられ、安心して自分らしく働ける)」をもって、構成する全ての人々がが活躍できる環境を作るための考え方をいう。
4. ³サプライチェーンと気候政策の安定化支援
MAGA政策による「友邦優遇」や化石燃料への回帰は、サプライチェーンの再編や気候政策への逆流を招いているところですが、日本は再生可能エネルギー投資の継続やASEAN・EUとの連携強化を通じて、国際的な安定化への役割を果たすことができるとされています。
- ³サプライチェーン:製品やサービスが原材料の調達から製造、流通、販売、そして顧客の手に届くまでの一連の流れのことを指す。
日本は「SDGsの守り手」であると同時に、「次の枠組みの設計者」としての役割も担っています。
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3 気になるニュース・話題・心配ごと
⑴ 地球温暖化による水産物の漁獲への影響
地球温暖化は日本沿岸・周辺海域の海水温上昇、魚種の北上や出現季節の変化、繁殖・成長パターンの変化を通じて漁獲量と漁業収入に大きな影響を与えています。
- サケ(シロザケ):一般的に10~12月頃、少し寒くなってきた季節に川を遡上して産卵し、川で生まれた稚魚は翌年4月頃降海、2~8年の間、北の海を回遊しつつ成長します。4年ほどで成魚となり、母なる川(母川:ぼせん)に戻り産卵して、その後死を迎えます。大人のサケが海で生活できる水温は5~20℃とされていますが、海水温度が高すぎると、母川の河口まで辿り着けなかったり、河口付近で遡上の準備中に体力が尽きてしまう、あるいは、稚魚の降海時期にサバの漁獲が増えたことから推定して多くの稚魚が海に出て捕食されてしまった。などの影響で漁獲量は減少してきました。
- イワシ・サンマ:日本近海の海水温度が高くなった結果、イワシやサンマの群れが北方、あるいは東方に移動してしまい、漁船の漁場までの所要時間増加が話題となりましたが、サンマについては、9月の中旬に至り北海道東方沖などでは俄かに豊漁となり、魚体も太く大きくなって、魚価の維持のため出漁調整するにまで回復した由。一方、黒潮大蛇行の収束は暖水性の魚種の分布回復や沿岸域の水温上昇に結びつきやすく、また、親潮性の回遊魚・冷水好みの小型魚(イワシ類やサンマ類)の南下は局地的・短期的な変動にとどまる傾向があるとの見方もあります。
- スルメイカ:今年8月〜12月の日本海全体の回遊量は前年および近年平均を下回る見通しだそうです。島根県沖や石川県沖では不振が続き、太平洋側(三陸沖)へ操業をシフトしている漁船もいるとか。北部日本海では回復傾向があるものの依然として低水準にとどまり、大和堆での漁模様も「厳しい状況が続いている」と報告されています。スルメイカは北陸地方の沿岸や東シナ海北部、北九州沿岸で孵化します。孵化した幼生は、黒潮や対馬暖流に乗って北上しながら成長し、最終的には北海道〜千島列島周辺まで到達することもあります。黒潮の大蛇行が終息し、東シナ海からの稚イカの北上ルートが回復すれば、大和堆周辺の漁場形成も改善する可能性があり、期待されています。
- イセエビ:宮城県で、千葉県以北の太平洋側に生息するイセエビが近年増加し、震災前の2010年には1.95トンだった水揚げ量が、最近では7.51トンにまで急増しています。また、新潟県佐渡市では、生息していないとされていたイセエビが発見されましたが、イセエビは水温20℃前後を好むため、三陸沖や佐渡で海水温が上昇したことで、北の海でも生育可能になったことを示し、幼生期に対馬海流や黒潮に乗って北上し、冬場の海水温上昇により越冬し生き残った可能性があるとされています。
- ブリ:海水温上昇の影響を受けて分布や漁獲量が大きく変化している代表的な魚です。北海道東部の白糠町では、2019年に1トンだったブリの漁獲量が、2023年には107トンにまで増加。一方で、従来の主力だった秋サケは、同期間に1710トンから861トンへと半減してしまいました。
- サワラ:サワラは肉食性回遊魚(マイワシ、キビナゴ、コノシロやアジを好んで捕食する)で、好適な海水温度は20℃〜23℃前後とされています。以前は九州や瀬戸内海でよく獲れていたけど、近年の海水温上昇により、日本海やさらに北の地域での漁獲量が増えています。
魚類だけなく貝類や海藻(ワカメやコンブなど)、海草(アマモ、ウミショウブ、スガモなどにも大きな影響が出ています。寒海性のコンブやワカメなどが衰退し、暖海性のホンダワラ類が優勢となり、海藻を食べる魚やウニの生息域も北上し、藻場が食い荒らされることにより「磯焼け」が拡大する。一方、アマモなどは一定の水温範囲でしか生育できずに、限界を超えると枯死や繁殖阻害が起き、魚の産卵場や稚魚の隠れ家の提供だけでなくとして重要な藻場の消失も起きています。
黒潮大蛇行は終息宣言が発表されました。蛇行は、海水温の地域的な上昇を引き起こし、それが気温や降水量の変化に繋がっているという因果関係があるものと考えられてはいるものの、気候変動や地球温暖化そのものが黒潮蛇行を引き起こしているかどうかについてはまだ研究途上で、完全には解明されていません。
⑵ トカラ列島群発地震域の海底調査
海上保安庁は群発地震が続いているトカラ列島近海で、令和7年7月31日から8月5日の6日間、最新鋭の測量船「平洋」を用いて海底地形調査を行い、結果を公表しました。
調査結果の中での最大のトピックは17地点の「海底噴気活動」を確認したことでした。

トカラ列島周辺海域の海底地形図・赤丸で囲った場所が群発地震の主な発生域
(出典:海上保安庁海洋情報部広報資料)・not edited

マルチビーム音響測深機に記録された噴気の画像
(出典:海上保安庁海洋情報部広報資料)・not edited

調査で確認された噴気の位置図
(出典:海上保安庁海洋情報部広報資料)・not edited
一方、悪石島の北北東の諏訪瀬島御岳では噴火と火山性地震が継続しています。

諏訪之瀬島御岳の状況(出典:福岡管区気象台発表資料)・not edited.
⑶ MSJC
MSJC(More Safety Japan Coast)は「日本の海の安全・安心」を目標として、日本の沿岸を航行する全ての小型船舶に、¹小型(ボディートーキ型)VHF無線装置と²簡易型船舶自動識別装置(AIS ClassB)の装備を推奨しています。
- ¹小型(ボディートーキ型)VHF無線装置:1990年(平成2年)5月に新設された三級海上特殊無線技士(通称:三海特、空中線電力5W以下の無線電話、5kW以下のレーダーの操作を行うための国家資格)の資格で、操作可能なVHF無線装置です。
- ²簡易型船舶自動識別装置(AIS ClassB):プレジャーボートや小型漁船、工事作業船、小型貨物船・曳船・油槽船など、AIS装備義務のない小型船舶向けに設計されたAISで、小型・低価格・技術基準適合品であれば届け出のみで運用が可能です。以下の表は、運輸安全委員会が実施した「AIS ClassB」についてのアンケート結果(一部抜粋)です。

AISの有用性についての運輸安全委員会アンケート結果資料・一部抜粋
(出典:運輸安全委員会ダイジェスト第37号)・not edited.
「海上安全」を所管する官庁等では「航行の安全」「海難防止」を唱えるのみで、これらの機器の装備については、なぜかあまり積極的ではありません。
知床遊覧船事故以後「小型旅客船」「遊漁船」については規制が厳しくなり、補助金を交付して普及に努めているところですが、「船」が乗せているのは「人」であり、人数の多少に関わらず対象とするべきところ、「片手落ち」「不充分」の感が否めず、「人命の軽視」であるとの指摘は免れません。
とは言え、「小型船全船に」となると補助金などへの予算も膨大となり対応が困難です。「MSJC」では海上交通安全法が言うところの「³船舶ふくそう海域」(東京湾)から着手し、関係省庁や自治体のほか関係団体等に積極的に提言するなど、歩みを進めています。
- ³船舶ふくそう海域:「海上交通安全法」上の重要な用語で、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海を言い、これらの海域では、大型タンカー、貨物船、漁船、プレジャーボート等が密集し航行していて、1日あたりの通航量が数百〜千隻を超えることもあります。
MSJCとは:More Safety Japan Coast・「日本の海の安全・安心」を考える、非営利グループです。
MSJCでは広くご意見、提言を募っています。msjc2511@yahoo.co.jp までお願いします。
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四方海話82 ーときの話題ー §38 おわり
次回は 四方海話83 ーときの話題ー §39 です。

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