ー ときの話題 ー §35
1 日本海の成り立ち
2 ジャイアントケルプとラッコ
3 気になるニュース・話題・心配ごと
➀ ツバル共和国
➁ G20が終了!
➂ 2025年カムチャツカ半島地震
④ 80回目の終戦記念日
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1 日本海の成り立ち
海についての関心が低い日本人!その中でも人々の目は大平洋・東シナ海(表日本)に向けられ、日本海側(裏日本)の海については意識のそと?に置かれているような気がします。日本海がどのようにして形づくられたのかを考えるとき、科学技術の進歩が疑問点を少しずつ解き明かしてくれています。

日本海の地図(出典:気象庁資料)・not edited.
日本海の主要諸元
平均水深は1,667㍍、最も深い地点で3,742㍍で、表面積は978,000 平方キロです。ほぼ中央部の大和堆(水深約400㍍)を挟んで主に3つの深い海盆があり北に日本海盆(水深およそ3,000㍍)、南東にやや浅い大和海盆、南西に対馬海盆(ともに水深およそ2500㍍)が存在しています。
日本海はどのようにしてできたのか?
「四方海話60」で簡単に触れましたが、日本列島は「イザナギプレート」が残した「付加体」だとされています。少しだけおさらいします。
イザナギプレートは、約1億3千万年前頃(中生代白亜紀中期)~約1億年前頃(同、後期)まで現在の北西太平洋に相当する地域の海底に存在したとされる「海洋プレート」です。
先端は、アジア大陸(ユーラシアプレート)に衝突し、「付加体」堆積させつつ北東方向に移動を続け、多くの「横ずれ断層」を発生させました。関東地方から九州西部まで連続する「中央構造線」はそのときに形成された断層だとされています。その後、イザナギプレートはユーラシアプレートの下に速いスピード(年に20~30㌢)で沈み込みながら北西方向に移動して、約2千5百万年前頃にはユーラシアプレートの下に沈み込んで地表から姿を消しました。
イザナギプレートの現在位置は?
東北大学の研究グループにより地震波トモグラフィー法(コンピューターにより大量の地震波伝播時間などのデータを処理することにより地球内部の構造を解析する方法で、原理は人体内部の状態を可視化する医療用CTスキャンと同じ)を用いてフィリピン海プレートの内部構造を調べたところ、同プレート直下の深さ700~1600㌖に、イザナギプレートの残骸とみられる2つのP波(縦波)高速度異常体(:地球内部で地震波が通常よりも早く伝わる領域を指します。主に冷たく密度の高い岩石によって構成されるためで、一般的には沈み込んだプレートの痕跡やマントル内の異常構造によるものだとされています)の存在が確認されたとしています。
日本海は、およそ2千万年前頃(新第三期後期)にユーラシアプレート東端で「¹背弧海盆」(はいこかいぼん)として成長(拡大)し始め、背弧海盆内の広範囲で海底火山活動や地殻の拡大を繰り返し、1千5百万年前頃にピークを迎えた後、背弧海盆としての日本海の成長、拡大は徐々に収束して行きました。
¹背弧海盆:沈み込み帯の背後に位置する海底の窪地のことで、島弧と深い関係があります。沈み込み帯で発生するプレート運動が引き起こす引っ張り力によって地殻が引き裂かれたり、マントルが上昇することで形成され次第に拡大します。背弧海盆では海底火山活動や熱水の噴出などが活発に見られます。
日本海固有水の存在
日本海は、ロシア沿海州、朝鮮半島と日本列島に囲まれた縁海で、東シナ海、太平洋及びオホーツク海との海峡部(対馬海峡、津軽海峡、宗谷海峡及び間宮海峡:いずれも水深は200㍍よりも浅い)で隔てられ、流入するのは対馬海峡からの対馬暖流のみで、外洋との海水交換が表層に限られた閉鎖性の高い海域です。このため、日本海の海洋構造は、深さ約300㍍を境に、外洋や大気などの影響を強く受ける表層と、それらの影響をほとんど受けない深層の二層に分けることができ、日本海全体の8割以上の体積となる深層(約300㍍以上の深い海水層)は、日本海固有水と呼ばれる水温0~1℃程度、塩分34.1程度、のほぼ均質な水塊で占められています。
太平洋の1%にも満たない面積の日本海には、大洋と同じような独自の深層循環が存在していることなどから「ミニ大洋」と呼ばれています。日本海固有水は、三つの海盆の地形の影響を受けながら循環し、100年程度で入れ替わると考えられています。この時間スケールは²大洋の深層循環(AMOC:Atlantic Meridional Overturning Circulation)の約1000年よりもはるかに短いため、地球温暖化などの気候変動の影響が、日本海固有水には大洋の深層水よりも早く、あるいは顕著に現れるとされ、日本海固有水に現れた変動は、将来的には大洋の深層でも現れる可能性があり、日本海固有水の変動を把握することは、海洋を含む気候系の変動を予測するうえで重要です。(原文出典:気象庁・日本海海洋気象センター、一部編集・加筆)
²大洋の深層循環(AOMC)?

海洋の循環を表層と深層の二層で単純化したもの。青い線は深層流、赤い線は表層流を示す。
大洋の深層循環模式図(出典:気象庁HP)・not edited.
大和堆と北大和堆
大和堆や北大和堆は、日本列島が大陸から分離し日本海が拡大する原因となった「³グリーンタフ造山運動」の過程で生じた海嶺の一部だとされ、冷たい海水と暖流(対馬暖流)が交わる「潮境」(しおざかい)に位置し、栄養塩が多く供給されることから、プランクトンなど魚類の餌となる海洋生物が多く、スルメイカ、ベニズワイガニ、サバ、マダラ、ホッケ、アカエビなどの好漁場となっています。また、大和堆は日本の排他的経済水域(EEZ)に含まれますが、外国漁船(北朝鮮・中国等)の違法操業が多発しています。このため水産庁と海上保安庁が連携して巡視・取り締まり・退去警告・放水措置を継続的かつ強力に実施しています。
³グリーンタフ造山運動:グリーンタフとは、火山灰などが固まってできた緑色凝灰岩(大谷石、十和田石、伊豆石などが有名、多孔質で軽い火山性岩石)のことで、今から約2,600万年前〜500万年前ころにかけて日本列島周辺(主に日本海側)で起きた地殻変動(造山運動)により生じました。原因となった広範囲な地殻変動を「グリーンタフ造山運動」と呼んでいます。
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2 ジャイアントケルプとラッコ
ジャイアントケルプ(和名:オオウキモ)
「オオウキモ」と言う和名はありますが日本には分布せず、北半球では北東太平洋沿岸のアラスカ半島からカリフォルニア湾までの地域に分布しています。また、南半球の高緯度地域にも分布しており、南アメリカ、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドの沿岸で群落が見られることもあるとしています。

米国カリフォルニア州にあるモントレー水族館 (Monterey Bay Aquarium) の「ケルプの森」大水槽
(出典:ウィキぺディア、CC 継承 1.0、著者en.wikipediaのユーザーLeonard G.さん)・not edited.
コンブ目コンブ科に属する海藻で現生では最大種であり、根は海底の岩場に固着し海面に向かって茎や葉を成長させ、成長スピードが著しく速く1日に50cm近くも成長することもある。また、ホンダワラと同様に葉が変形した球状または楕円体状の浮き袋が付いているため、海中でほぼ直立していることができ、茎は海面に達するまで伸び続けて最大50m以上に達し、さらに海面上に広がるように成長するのだそうです。
密集した場所では海底から海面に及ぶ長大な藻場が形成され、藻場は海棲動物の棲み家になっていて、エビ、カニなどの甲殻類やウニ、ヒトデなどの棘皮(きょくひ)動物、魚類の他アザラシやラッコなどの海獣類のコロニーにもなっている。特にラッコは、海流により藻場から流されないようにオオウキモを体に巻きつけて眠る習慣があるそうです。
ラッコ(海獺)

オオウキモを体に巻き付け海面を漂うラッコの親子(出典:ウィキぺディア)・not edited.
クリエイティブ・コモンズ表示2.0ジェネリック 帰属: “Mike” Michael L. Bairdさん
目が小さく、胴長短足、腕も短く、大きく扁平な尻尾、なんとも剽軽な姿をした海棲哺乳類(海獣)ですが、イタチやカワウソの仲間(食肉目イタチ科)です。身長100~130㌢、尾長25~40㌢、体重22~45㌕(雄)15~32㌕(雌)ほど、寒冷な海でも生活できるよう体毛の密度が高いのが特徴である他、顎が頑丈で扁平に発達した臼歯とともに餌の貝類や甲殻類を噛み砕くことができるのだそうです。
ラッコの「マイストーン」
ラッコは「マイストーン」と呼ばれるお気に入りの石を使って貝を割ります。その石をなくさないようにキープして、胸の下にあるポケット状の皮膚内に保管する習性があるのだとか!体の成長によって変化する浮力調整の意味もあるのかも知れません?
ラッコラフト
ラッコの仲間同士または親子が海面で手を繫ぎながら浮かび眠る習性は「ラッコラフト」と呼ばれます。この習性は、お互いが潮流に流されて迷子にならないようにするためらしい!

手を繫いで寝ているラッコ(出典:ウィキぺディア、クリエイティブ・コモンズ表示2.0ジェネリック)
(著者:ジョー・ロバートソンさん)・not edited.
乱獲の歴史
北海道周辺では1800年(寛政12年)、函館の有名な廻船問屋、高田屋嘉平が択捉島の漁場経営に乗り出し、千島列島に住む現地の人々(主に千島アイヌの人々)を雇用し、鮭・鱒漁の拡大とともに保温性が良い毛皮獲得のためラッコ・オットセイの捕獲も始めました。19世紀以前にはラッコは千島列島全体では推定2.5万頭が生息していたとのデータもあり、乱獲により千島列島では絶滅寸前まで激減しましたが、明治政府は1911年に締結された膃肭獣保護条約(明治44年条約第13号:ラッコやオットセイの乱獲が国際問題となっていたことに対応するもの)を実施するための国内法として、1912年(明治45年)「海獺膃肭獣猟獲取締法」(らっこ・おっとせいりょうかくとりしまりほう)が施行され保護されるようになり、2004年頃までには1.9万頭にまで回復したそうです。
世界的には生息域の縮小や個体数の減少を受けて、国際自然保護連合(IUCN)では絶滅危惧種(EN)に分類し、ワシントン条約で取引が規制されるとともに同附属書IIに掲載され現在でも保護対象としています。その結果、2004 – 2018年における生息数は世界中で128,902頭と推定されています。
日本で野生のラッコが見られるのは道東の根室半島周辺に数頭、飼育下(水族館)では三重県の鳥羽水族館の雌のラッコ2頭のみとなりました。
環境省レッドリストでは絶滅危惧IA類(CR)に分類され、「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い種」となっています。
オオウキモとラッコとウニの関係
「トロフィック・カスケード効果」とは生態学の場合、上位捕食者の捕食活動の変化が下位の生物群に対し連鎖する現象を言います。我々人間界の都合で1980年代まで盛んに行なわれてきた「捕鯨」が「ヒゲクジラ」の個体数を減少させ、「ヒゲクジラ」を餌としていた「シャチ」が捕食の対象を「ゼニガタアザラシ」に替え、「ゼニガタアザラシ」が減少するとさらに「キタオットセイ」「トド」「ラッコ」が対象となったとし、北東太平洋の沿岸では「ラッコ」が「シャチ」に捕食され個体数が減ったことにより「ラッコ」の餌となっていた「ウニ」が増加して「ジャイアントケルプ」の根や葉を食い荒らした結果、海中林を破壊したという報告があります。
キーストーン種(中枢種)としてのラッコ
キーストーンとはアーチ構造物の頂点に置かれる「要石(かなめいし)」のことで、キーストーン種は生態系においてその個体数や生物量に比べて、極めて大きな影響力を持つ種を指します。もしその種が居なくなると、生態系全体の構造や機能が大きく変化し、崩壊に至る場合もあります。ラッコがウニを捕食することで、ウニによる海藻に対する食害を抑え、生物多様性が豊かな海藻の森を維持しています。ラッコが居なくなると、ウニが増えすぎてジャイアントケルプなどの海藻を食べ尽くし、海底が荒廃(磯焼け)してしまう恐れがあります。もしかするとラッコは人類にとって地球温暖化抑止の救世主なのかも知れません?
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3 気になるニュース・話題・心配ごと
➀ ツバル共和国
ツバル共和国は、南太平洋(ポリネシア)にある4つの島と5つの環礁からなる、世界で4番目に面積が小さい国家で、1978年英国から独立し人口は約11,310人(2022年)、地球温暖化による海面上昇の影響を最も受けやすい国の一つです。
ツバル全体での最高点の海抜は6.0㍍に満たず、3㍍を越える土地はほとんどないとされ、海抜の低さは予想される海面上昇に対しては極めて脆弱である。
ツバル共和国とオーストラリア政府の間では気候変動によって必要が生じたとして、二国間独自の「気候ビザ制度」を創設し、2026年1月までの間に抽選で選ばれたツバル国民280名に対しオーストラリア政府がビザを発給し、オーストラリアに到着した時点で永住権を取得し、就労の権利や、公的医療・教育を受ける権利を得られるとしています。

ツバル共和国の位置(出典:ウィキぺディア、クリエイティブ・コモンズ表示-継承3.0移植なし)・not edited.
(著者:TUBSさん・https://de.wikipedia.org/wiki/User:TUBS)
➁ G20が終了!
南アフリカのダーバンで7月17~18日の二日間開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議は共同声明を採択して閉幕しました。財務相会合として共同声明を採択したのは昨年10月のワシントン会議以来3会合ぶりで、南アフリカが議長国を務めてから初めての共同声明を発出した会議となりました。
共同声明の概要
・世界経済に対する認識:戦争、気候変動、債務問題などが世界経済の成長と安定に影響している。
・各国の中央銀行の役割:物価安定への強い意志と中央銀行の独立性の重要性を再確認するとした。
・国際協力の強化:⁴IMF(国際通貨基金)の改革、債務支援、⁵SDR(特別引出権)の活用などを進める。
・気候問題・環境問題への対応:グリーン水素、自然災害保険、炭素市場の整備を進める。
・貿易と⁶WTO(世界貿易機関)の改革:公平で持続可能な貿易体制の構築を目指す。
⁴IMF(国際通貨基金):世界の金融安定化を目指して活動する国際組織。具体的には、為替相場の安定化や経済成長促進のための支援を行い、財政的に困難に直面する加盟国に融資したり、その国々の政策改善を支援している。本部はアメリカのワシントンD.C.で加盟国は191か国。日本もIMFに対し積極的に資金を拠出しています。
⁵SDR(特別引出権):IMFが創設した国際準備資産(加盟国が必要に応じて通貨と交換できる資産)で通貨ではありません。また、個人や民間が保有するものではなく、IMFによる資金配分や国際的な経済協力や危機対応の際に重要な役割を果たしています。
⁶WTO(世界貿易機関):国際貿易を円滑化し、公正で自由な貿易を推進することを目的とした国際機関で、現在は166の国と地域が加盟しています。1995年に設立、本部はスイスのジュネーブに置かれています。
➂ 2025年カムチャツカ半島地震

2025年カムチャツカ半島地震の関連図(国土地理院地図上に作図)
2025年7月30日午前8時24分(日本時間)に発生したこの地震はマグニチュードは8.8(⁷USGS)と推定されています。ロシアのペトロパブロフスク・カムチャツキー南東沖約119kmを震源地とし、震源の深さは 約35km。日本の太平洋沿岸の広い地域に津波の影響を及ぼしました。
⁷USGS(アメリカ地質調査所):アメリカ合衆国政府の科学的研究機関のひとつで、地球科学に関する幅広い調査・研究を行っている。日本でもこの研究機関のホームページが閲覧できますので、興味がある方は地震のデータともども、是非一読をお勧めします。(USGS.gov ・https://www.usgs.gov)

USGS提供・M8.8カムチャツカ半島付近の地震活動マップ(PD・not edited.)
クラシェニンニコフ山
標高約1856メートルで、この火山は環太平洋火山帯の一部として活発な地殻変動が特徴の活火山です。2025年8月2日から3日にかけて約600年ぶりの噴火が観測され、噴煙は6キロメートルの高さに達したそうで、7月30日に発生した「2025年カムチャツカ半島地震」と連動している可能性が指摘されています。
クリュチェフスカヤ山
カーメン火山やベズイミアニ火山などと連山をなす成層火山で、見る方向によっては日本の富士山によく似ていることから「カムチャツカ富士」とも呼ばれているそうで、標高は4,750㍍に達し、ユーラシア大陸最高峰の活火山でもある。山腹には多数の側火口があり、こちらも海底地震との関連性が指摘されています。大規模な山頂火口からの噴火により標高が変わってしまった可能性があります。

クリュチェフスカヤ山の画像(出典:ウィキぺディア・PD、著者Tamtenさん)・not edited.
パラムシル島(日本名:幌筵島)東方海底地震
8月3日13:40に発生した深さ40㌖、マグニチュード6.6の逆断層型海底地震ですが、日本沿岸への津波の影響はほとんどありませんでした。
④ 80回目の終戦記念日
前項でパラムシル島(日本名:幌筵島)が出てきましたので、読者の方々に是非読んでおいて頂きたい小説をご紹介します。「終わらざる夏」(浅田次郎著:2010年初版)、「パラムシル島・幌筵島」の北東にある小さな島「占守島」(しむしゅ島)を舞台とした上下2巻の長編小説ですが、終戦記念日を前にして「知られざる戦闘」が存在したした史実に目を向けるのも有意であると思います。
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四方海話79 ーときの話題ー §35 おわり
次回は 四方海話80 ーときの話題ー §36 です。

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