第二十話 ー 領土・領海・EEZ・大陸棚 ー その4
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・・ 日本海呼称問題 ・・
韓国が「日本海という呼び名が普及したのは、日本の拡張主義や植民地支配の結果である。」 として、1992年(平成4年)「第6回国連地名標準化会議」で異議を唱え、1997(平成7年)「国際水路機関」(IHO:水路図誌〔海図・灯台表など〕の統一を図る国際機関)の場では、日本海の呼称として「日本海」(Japan Sea)と「東海」(トンヘ:East Sea)を併記すべきと主張しはじめました。
そもそも、日本海の呼称は我が国が名付けたのではなく、イタリア、フランス、イギリス、ロシアなどの探検家(地図学者、航海者)による調査により、19世紀初頭には「Japan Sea」(日本海)の呼称が国際的に確立されていたとされています。また、英、米、仏、露などでは日本海海域の海図を刊行以来「日本海」の呼称を単独で使用しているとのことです。
韓国の主張に基づき外務省では、世界60ヶ国の代表的な地図392枚について調査した結果、「日本海」という単一名称を記載していない地図はわずか11枚(2.8%)に過ぎず、この11枚にあっても日本海と東海の併記であり、東海のみを記載した地図は見当たらなかったとのデータを公表しています。

国連作成の地図(出典:外務省資料)
・・ 中韓の大陸棚延長申請 ・・
中韓両国は2012年(平成24年)12月、相次いで国連大陸棚限界委員会に対し「大陸棚延長」を申請しました。
「国連海洋法条約」は、沿岸国の大陸棚について領海基線から200海里(約370㌔㍍)としている一方で、海底地形等の条件を満たす場合は200海里を超える大陸棚を設定できることとしていますが、その際には海底地形等のデータを国連大陸棚限界委員会に提出(大陸棚延長申請)して、その勧告を受ける必要があります。
中国が延長申請した大陸棚の限界は、沖縄トラフのうち屋久島から奄美大島までの西側海域で、東シナ海の大陸棚は中国の領土の自然延長であって、沖縄トラフが大陸棚延長の終点であるとしています。
一方、韓国主張の大陸棚の限界は、トカラ列島周辺の日本の領海線までを対象(接続水域は無視?)としていて、検討に値しないものとなっています。
中国・韓国による大陸棚延長申請について、我が国外務省はそれぞれ「口上書」を発出して大陸棚限界委員会に対し延長申請を検討しないよう要請しています。以下はその概要です。
- 中国・韓国が申請した海域はそれぞれの国の領海基線間の距離が400海里未満であり、このような海域の大陸棚は条約の関連規定に従って、両国間の合意によって境界を確定する必要がある。中国・韓国は一方的に大陸棚の限界を設定できない。
- 大陸棚限界委員会の手続きに関する規定では、延長申請について当事国間の海洋等に関する紛争がある場合には、全ての関係国の事前の同意がなければ検討できないこととなっていて、日本はそのような事前同意をしておらず、中国・韓国の申請を検討しないよう要請する。
- 中国からの申請に関しては、「尖閣列島」が日本の固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いはない。中国が大陸棚延長申請のために提出した文書に記載された尖閣諸島への言及(中国が主張する尖閣諸島周辺の領海基線を含む。)は、国際法上根拠がなく、日本としては全く受け入れられない。

中韓両国の大陸棚延長申請状況図(出典:海上保安レポート)

中韓両国主張の限界線付近の地質構造図(出典:同上)

我が国が主張する限界線付近の地質構造図(出典:同上)
・・ シーレーンとオイルロード ・・
「シーレーン」については、「一国の通商上・戦略上、重要な価値を有し、有事に際して確保すべき海上交通路のことである。」(:ウィキペディア)として、「中曽根康弘」総理大臣(1982年<昭和57年>11月~1987年<昭和62年>11月)のころ盛んに議論されていましたが、近年においては、ウクライナ情勢の行方や中国・台湾が主張する南シナ海の九段線(11段線)問題、中国海軍の海洋進出などにより日本のシーレーンがかつてなく脅かされている現状から、「エネルギー安全保障」と「食料安全保障」への課題を再認識して、「シーレーン防衛力」の強化について積極的に取り組むべき時であると思います。
「オイルロード」も当然、シーレーン防衛の重要な要素です。石油備蓄は令和3年1月末現在で246日分(7,527万㎘≒4.7億㌭:1㌭=158.93㍑:資源エネルギー庁資料)とのことではありますが、中国が南シナ海で軍事力を背景に環礁の埋め立てを進め、滑走路を作り、軍事基地化して実質的な支配力を強めている現状からすると、近い将来「航行の自由」は奪い取られ、中東からの原油輸送は現状のマラッカ・シンガポールルート(片道約12,000㌖)からロンボク・マカッサルルート(片道約14,500㌖)への変更を強いられ、さらには、南太平洋ルート(片道約21,500㌖)になるのかも知れず、その経済的・時間的損失は大きなものになるのは必至です。

・・ 福島原発処理水排出問題 ・・
福島県の沿岸漁業者が風評被害を恐れ、排出に反対していることは心情として理解できますが、自分の国でも処理水を海洋排出しているとされる韓国、中国が騒ぎ立てているは如何なる信条によるものかが全く理解できません。
今後、パイプラインによる沿岸排出は中止し、大型タンカーによる沖合に排出に変更してはどうか?
現状のパイプラインはそのまま使用して、排出孔付近海上にシーバースを設け、大型タンカーに処理水を積み込んでさらに沖合に搬出、一定の海域で所定の水深に排出した後シーバースに戻るを繰り返す。シーバース設備は造らなければなりませんが、かつての原油陸揚げ用大型ブイを想起すれば、費用、工期もそれほどかからないのではないでしょうか?
少なくとも、沿岸漁業者の懸念は払拭することができるものと思います。
四方海話 39 第二十話 ー 領土・領海・EEZ・大陸棚 ー 「おわり」
次回は 四方海話 40 ・ 雑談 ・ です。

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