四方海話 40

ー  雑談  ー

 暑い毎日が続いていますので冷たい話はいかがでしょう!

・・ オホーツク海の海氷(流氷)について ・・  

 オホーツク海には毎年「流氷」がやってきます。昔はロシアのアムール川の氷がオホーツク海に流れ出し、東樺太海流(サハリンの東岸を南下する海流)に流されて漂着すると考えられていましたが、北海道立流氷科学センター(紋別市)の観測調査の結果、北海道オホーツク海沿岸に達する流氷には河川氷はほとんど含まれず、塩分濃度の低い表面海水が結氷し、成長しながら押し流されて来ることが判り、名前も「海氷」(かいひょう)と呼ばれるようになりました。

 気象庁や海上保安庁など、国や研究機関は海氷、道や市、NHKは流氷と呼び混用されている。

 気象庁が毎年発表している オホーツク海の海氷分布図(経過図:下図)によれば、2022年11月~2023年7月の流氷面積は、減少傾向にはあるものの、ほぼ平年並みの由でした。

オホーツク海の海氷域面積の経過図・2022年11月~2023年7月(出典:気象庁HP)

 また、年ごとの流氷が占める最大面積は右肩下がり(下図参照)となっています。

 オホーツク海の海氷域面積は、地域的な気温、風や海水温の変化による影響を強く受けるため、年ごとに大きく変動していますが、長期的に見ると、最大海氷域面積は10年あたり5.5〔2.8~8.1〕万平方キロメートルの減少となっており、この値はオホーツク海の全面積の3.5〔1.8~5.2〕%の海氷域が10年ごとに消失していることを意味します(角括弧中の数字は95%の信頼区間を示す)。

 減少傾向が明瞭に現れていることには、地球温暖化が影響している可能性はありますが、地球温暖化との関連性をより確実に評価するためには今後さらなるデータの蓄積が必要です。

以上(太字部分)は、気象庁HP、「海氷域面積の長期変化傾向」掲載の下図に関する解説です(原文のまま)が、右下がりであることがイコール地球温暖化が原因であるとはしていないことに注意してください。

オホーツク海の最大海氷面積の経年変化・1971年~2023年(出典:気象庁HP)

 オホーツク海は、普段あまり馴染みのない海域ですが、地図も気象庁HPにありましたので貼り付けておきます。

オホーツク海の地図(出典:気象庁HP)

オホーツク海の海氷分布図(2023年2月5日:この日の流氷域はほぼ最大値)

(出典:気象庁HP)<赤線は1991年~2020年の平均な海氷の縁を示す。>

・・ 流氷と動物 ・・

 オホーツク海には、ゴマフアザラシ、ワモンアザラシ、クラカケアザラシ、ゼニガタアザラシ、アゴヒゲアザラシの5種類が生息しているそうですが、ゴマフアザラシとワモンアザラシ、クラカケアザラシは天敵が比較的少ない流氷の上で出産、子育てをし、そのため幼少時は保護色(白色)の体毛に覆われているのだそうです。キタキツネもシベリアから流氷に乗って来道するほか、流氷の下には流氷の天使の別名があるクリオネ(ハダカカメガイ)が生息していて、地元の子供たちは、捕まえて冷蔵庫の中で飼育しながら観察しているそうです。また、オオワシやオジロワシも越冬のため、流氷とともに姿を見せるそうで、冬の寒いなかでも海辺の生命力は豊かなのです。

クリオネの画像(出典:ウィキペディア)

・・ 北極海・南極海の海氷と地球温暖化について ・・

 昨年(2022年<令和4年>)4月末、国立極地研究所と宇宙航空研究開発機構(JAXA)の衛星を用いた共同研究の成果として、同年2月20日に南極の海氷の面積が年間を通じて観測史上最小値を更新した旨を発表し、報道されました。過去10年間の平均値の73.3%にまで減少したそうです。

 南極の夏季の海氷面積変化(出典:国立極地研究所発表資料)

 一方、北極域でも夏季の海氷域面積は1979年(昭和54年)以降減少傾向にあり、特に最小値の減少が顕著で、1年あたりの減少量は北海道の面積に相当するとのことです。

(出典:気象庁HP)

 北極海での海氷の減少状況がよくわかる画像がありましたので貼り付けます。

北極海の海氷の縮小状況(出典:ウィキペディア)・左上の角部がベーリング海

  海氷域面積の年最小値が減少している要因の一つとして、海氷が溶けて解放水面が増えると、海水面が太陽熱をより多く吸収し、更に海氷の溶融を助ける正のフィードバック効果(海氷-海洋アルベドフィードバック効果)の働きが示唆されています。

海氷-海洋アルベドフィードバック効果の説明図(出典:国立極地研究所HP)

 それでは、地球全体から見て、両極地の海氷面積の関係はどうでしょうか?

 以下2葉は、気象庁が速報した2023年(令和5年)2月15日(北半球が冬)の北極海の海氷の様子と同じ日の南極海の海氷の様子です。<北海道のオホーツク海沿岸では流氷が着岸している。>

 以下の2葉は同じく気象庁が発表した、2022年(令和4年)9月15日(北半球が夏)の北極海の海氷の様子と同じ日の南極海の海氷の様子です。北極海ではロシアの北岸の海域が開き、船舶の航行が可能となります。 

 注意:以上4葉はいずれも気象庁発表の解析図です。転写図ですので縮尺がずれています。イメージのみとして下さい。

 両極海域の海氷面積の月別変化(30年間の平均値)とそれを合計した値の変化グラフです。南極域(茶色の線)の方が北極域(青色の線)に比べ年変化の幅が大きいことが判ります。

 平年の海氷域面積の経過図(出典:気象庁資料)

・・ 北極海の動物 ・・

  •  ホッキョクグマ:夏季の北極圏の海氷が減少し続ければ生息域も狭くなり、餌にしているアザラシやセイウチを捕らえる機会も少なくなる。絶滅危惧種(気候変動対策を急がなければ、21世紀末には絶滅してしまう旨の説がある。)
  •  セイウチ(海象):四方海話 21で記述しました。
  •  ホッキョククジラ:北極圏に生息するヒゲクジラ、こちらも絶滅危惧種。
  •  イッカク:クジラの仲間、雄は長い角(牙)を持つ。角を振り回して餌となる魚を気絶させて食べたり、海水面から上に出して気圧や気温の変化を感じ取るセンサーの役目もあるのだとか。
  •  シロイルカ(ベルーガ):名前はイルカだが、クジラ説もある。オホーツク海で視認されたこともあり、頭脳明晰で芸達者、飼育している日本の水族館では例外なく人気者になっています。 

・・ 南極海の動物 ・・

  •  ペンギン:皇帝ペンギン、アデリーペンギン、王様ペンギン、ヒゲペンギンなど。
  •  アザラシ:ミナミゾウアザラシ、ヒョウアザラシなど。特にヒョウアザラシは肉食で獰猛、ペンギンを捕食したり、他のアザラシを食べることもあるらしい。
  •  ユキドリ:目と嘴が黒い他は全体が白色で、鳩と同じか少し大きい。南極大陸のみに生息し、餌はオキアミや小魚を主食としている由。

四方海話 40   ー 雑談 ー   「おわり」

次回は  四方海話 41  第二十一話 シーマンシップについて ほか です。

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