― ときの話題 ー §12
今年も来たゾ~!
「国際海運GHGゼロエミッションプロジェクト」の今
見てくれの悪い魚 ⑦⑧⑨
今年も来たゾ~!
オホーツク海の流氷が今年もやってきました。地球温暖化と云われながらもしっかりと南下を続けています。今月下旬にも着岸しそうです。

気象庁HP・海氷解析図
海氷と流氷
海氷(Sea ice)は『海に浮かぶ氷の総称。ただし、国際的には海水が凍結したものを海氷と分類し、氷山など淡水由来の氷と区別することもある。』流氷(Drift ice)は『海氷のうち、海を流れ漂い、海岸に定着しないもの。ただし、国際的にはこのうち海水が凍結したものだけを流氷とすることもある。』(『』内は気象庁の用語説明)・・・よく分からない説明なのですが、当四方海話では「流氷」を用います。なにしろ語感がよろしい!
地球温暖化や海洋熱波の影響で、もう流氷の接岸は無いのかと思っていましたが、むしろ平年より多めに推移しているようで、なぜかホッとしています。アザラシの幼獣が見られるといいのですが!

今季の海氷面積の経過図(出典:気象庁)
赤太線:海氷域面積の経過・ピンク細線:平年値・灰色:平年並みの範囲・青:最大値、最小値

アザラシの幼獣(出典:ウィキぺディア)
オホーツク海南部の海氷の状況(気象庁)
網走で1月19日に平年より3日早く、昨年より14日早い流氷初日となりました。オホーツク海南部の海氷は猿払村(さるふつ村)から北見市常呂(きたみしところ)の海岸から10~20㌖にあり、10㌖以内に散在しています。猿払村から浜頓別町(はまとんべつ町)にかけてと佐呂間町(さろま町)から北見常呂町にかけての海岸の一部で接岸しています。また、海氷の一部は宗谷海峡に流入しています。〔原文のまま。()内筆者加筆〕
今後1週間の予想(気象庁)
期間の前半は北の風により、オホーツク海南部の海氷は、北海道オホーツク海側の所々で接岸するでしょう。その後は低気圧の影響で北海道周辺の海氷は一時的に海岸から遠ざかる見込みです。また、海氷の一部は宗谷海峡に流入するでしょう。付近を航行する船舶は海氷の動きに注意してください。(原文のまま)

オホーツク海周辺地図(出典:気象庁資料)
北海道オホーツク海側の大型底曳き漁船は、流氷が来ると出漁できないので釧路や函館に避難して、その間に船を修理したり、検査を受けたりします。中小の漁船や観光船は陸揚げして冬ごもり!活躍するするのは流氷観光船だけになります。
「国際海運GHGゼロエミッションプロジェクト」は今!
表記について、四方海話34、第十五話、-GHGとゼロエミ船-で紹介済みですが、その進捗状況についてです。
「次世代船舶開発」プロジェクト
硬翼帆(こうよくほ)
「ウィンドチャレンジャー計画」と名付けられ、東京大学、金沢工業大学、(株)商船三井、(株)大島造船所、(株)タダノ、東京計器(株)などが共同研究中で、総トン数58,209㌧の商船三井所属石炭運搬船「松風丸」(しょうふうまる)が実証試験中です。
船首に1セット、風の状況に応じて4枚の強化プラスチック製硬翼帆を自動で拡縮できる装置(幅15㍍、縮帆時の高さ23㍍、最大展帆時の高さ53㍍、総重量約100㌧)を装備して、オーストラリア、インドネシア、北アメリカなどから、主に東北電力管内の火力発電所用石炭の輸送に従事してデータを集積しているところです。シミュレーション上は、日豪航路で5%以上、日北米航路で8%以上の燃料削減効果が期待されています。
1970年代のオイルショックの際、燃料の消費節減のため、省エネルギー帆装ケミカルタンカ―「新愛徳丸」(しんあいとくまる、699.19総㌧、全長63.85㍍、幅10.6㍍、合成繊維製の帆2枚〔幅8㍍、高さ12㍍、×2〕)が建造され実働しましたが、燃料の消費量節減効果はあったものの、建造時の初期費用の問題やヒール対策のためのバラストタンクの必要性、橋梁下の通航制限等から残念ながら一般化することはありませんでした。
舶用水素エンジンの開発
九州大学、広島大学、川崎重工(株)、ヤンマーパワーテクノロジー(株)、(株)ジャパンエンジンコーポレーションが参加する共同事業体では、水素を燃料とする舶用エンジン(補機〔発電機〕用中高速4ストローク水素エンジン〔800~1,400㌗〕・推進用中速4ストローク水素エンジン〔2,000~3,000㌗〕・推進用低速2ストローク水素エンジン〔5,000㌗〕)とともに、水素燃料タンク及びエンジンへの燃料(水素)供給システムを開発中です。
アンモニア燃料の国産エンジン搭載船舶の開発
日本郵船(株)、(株)IHI原動機、(株)ジャパンエンジンコーポレーション、日本シップヤード(株)が参加するグループはアンモニアを燃料とする国産4ストロークエンジン(1,600㌗)をタグボートに実装し、今年6月に竣工を予定しており、世界初のアンモニア燃料船として、脱炭素に向けた効果や運航の安全性を検証するための実証運用を行います。
また、アンモニアを燃料とする国産の2ストローク主機(出力約8,000㌗)や補機(発電機)用4ストローク機関(出力約1,300㌗)の開発にも着手・実装し、2026年に竣工を目指しているところです。
LNG(液化天然ガス)燃料船のメタンスリップ削減
メタンスリップとは、LNG燃料中のメタンの一部が、シリンダの中で燃焼することなく未燃焼のままメタンとして大気中に排出されてしまう現象を云います。メタンはCO₂(二酸化炭素)に比べて温室効果が高いため、GHG(温室効果ガス)削減の観点からメタンスリップの削減が求められているところです。LNG燃料船の需要は、主にヨーロッパで急増しています。我が国でも商船三井が2030年までに90隻あまりの導入を計画していることを明らかにしています。
日立造船(株)、ヤンマーパワーテクノロジー(株)、商船三井(株)が参加する共同事業体では
- 2026年までにLNG燃料船のメタンスリップ削減率70%以上を達成し、重油からLNGへの燃料転換による温室効果ガス削減効果を引き上げる。
- そのために実稼働条件下で高いメタンスリップ削減性能を有する触媒の開発とエンジン出口からのメタンスリップ削減および触媒のメタンスリップ削減性能を高める燃焼方式を軸とした新たなエンジンシステムを開発する。
- その後、開発した触媒とエンジンを組み合わせたメタンスリップ削減技術を実践搭載し運用手法を確立する。
としています。

「次世代船舶の開発」プロジェクトのスケジュール表(出典:国交省海事局資料)
見てくれの悪い魚 (追加)
⑦オニダルマオコゼ(鬼達磨鰧・鬼達磨虎魚・ストーンフィシュ)
オコゼ(鰧・虎魚)の干物は山ノ神にお供えすると山が静まるとされていますが、こちらは鬼が付いて達磨がついたさらに醜い魚です。小笠原諸島、奄美大島、沖縄周辺の磯場に生息している背鰭に毒針を持つ危険な魚です。体長は大きいもので40㎝ぐらい、動かずに浅場の岩にへばりついて獲物を待つ。毒は非常に強力で、気づかずに誤って踏むと死に至ることもあるらしく危険な魚ではありますが、身は白身で刺身、から揚げ、吸い物などにすると美味しく食べられるのだそうです。

オニダルマオコゼ・スケッチ(出典:ウィキぺディア)
⑧ホウライエソ(蓬莱鱛)
温帯から熱帯までの水深500~2,500㍍の深海に住む体長40㌢ほどの魚です。先端が長い背鰭と下腹部にある発光器で小魚をおびき寄せ捕食する。「海のギャング」の別名を持ち、上方跳ね上がる大きな口と長い牙で捕らえた獲物を逃がさず飲み込んでしまうのだとか!

ホウライエソ・スケッチ(出典:ウィキぺディア)
⑨シギウナギ(鴫鰻)
世界中の温暖な海域、水深300~2,000㍍の深海に広く分布している。底着性はなく、中層を漂って生活し、小さなエビなどを捕食する。体は極端に細く、体長は1.4㍍程度にまで成長、鳥の鴫(しぎ)の嘴に似た細長い上下の顎(あご)が特徴です。

シギウナギ・スケッチ(出典:ウィキぺディア)
次回は 四方海話 56 ーときの話題ー §13 です。

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