ー ときの話題 ー §24
Ⅰ 海洋レポート・令和6年版
Ⅱ 「四方海話」バックナンバー
Ⅲ 大きな心配事⁈
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今年(2024年・令和6年)8月末、内閣府・総合海洋政策推進事務局から刊行されました。
この中から、筆者の独断と興味と偏見によりピックアップし、コメントや掲載可能な写真、画像などを加えつつ列記してみます。

海洋レポート・令和6年版の表紙(出典:内閣府HP)not edited.
目次(海洋レポート・令和6年版の目次)
第1部 令和5年度の主な出来事
第2部 海洋のこの1年
1 海洋開発等重点戦略の策定
1-1 自律型無人探査機(AUV)の開発・利用の推進
1-2 海洋状況把握(MDA)及び情報の利活用の推進
1-3 洋上風力発電のEEZ展開に向けた制度整備の推進
1-4 特定離島である南鳥島とその周辺海域の開発の推進
1-5 管轄海域の保全のための国境離島の状況把握
1-6 北極政策における国際連携の推進等
2 特定有人国境離島地域の地域社会の維持について
第3部 海洋に関する施策の取り組み状況
1 総合的な海洋の安全保障
(1) 海洋の安全保障
(2) 海洋の安全保障の強化に貢献する施策
2 持続可能な海洋の構築
(1)カーボンニュートラルへの貢献
(2)海洋環境の保全・再生・維持
(3)水産資源の適切な管理
(4)取組の根拠となる知見の充実・活用
3 着実に推進すべき主要施策の基本的な方針
(1)海洋の産業利用の促進
(2)科学知見の充実
(3)海洋におけるDXの促進
(4)北極政策の推進
(5)国際連携・国際協力
(6)海洋人材の育成・確保と国民の理解の増進
参考資料
表1 海洋に係る基本的情報・データ
表2 各府省における海洋に関する業務一覧
表3 令和5年4月1日から令和6年3月31日までに成立した法律・政令
表4 政府関係機関が実施する海洋調査件数
表5・表6 政府関係機関が保有する海洋調査船・探査機等一覧
表7 用語集
となっています。
第1部 令和5年度の主な出来事 からの抜粋
- 日本周辺の超深海調査で発見した魚が最も深い場所で確認された魚としてギネス世界記録を更新・・・2022年8月15日、東京海洋大学と西オーストラリア大学の共同チームが小笠原海溝の水深8,336㍍で撮影に成功したスネイルフィッシュ(和名、シンカイクサウオ:深海性カサゴ目クサウオ科の魚類)の映像が「最も深い場所で撮影された魚の映像」として、2023年4月7日にギネス世界記録の認定を受けた。
- 7月、南鳥島沖の水深5,600㍍で、自律型無人探査機(AUV)による資源探査に成功した。
- 11月、海底熱水鉱床に関する総合評価を実施した。
- 令和6年2月「二酸化炭素の貯留事業に関する法律案」が閣議決定された。・・・ 5月に成立し、略称は「CCS事業法」です。
- 令和6年3月「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(略称、海洋再エネ法)の一部を改正する法律案」を閣議決定した。
- 令和6年3月、気象庁の海洋気象観測船「凌風丸」が就役した。

出典:本文付属写真、not edited.
第2部 海洋のこの一年 からの抜粋
1 海洋開発等重点戦略
1-1 自律型無人探査機(AUV)の開発・利用の推進
自律型無人探査機(AUV:Autonomous Underwater Vehicle)は予めインプットした深度やコースのデータに基づき、有線による遠隔操作を必要とせず、自ら状況を判断して全自動で水中を航行できるロボット(水中ドローン)です。洋上風力発電、海洋資源開発、海洋の調査・観測、海洋安全保障、海洋環境の保全、防災対策などへの活用が考えられます。日本はAUVについて技術的知見は持つものの、産業化、商業化については欧米が先行していますが、海上保安庁海洋情報部では既にこれを海洋の調査・観測のために運用していて、高精度の情報を公表しています。

(出典:海上保安庁海洋情報部技術・国際課資料)not edited.

AUVの運用模式図(出典:海上保安庁海洋情報部技術・国際課資料)not edited.


海底地形調査の精度比較・左:船上(海上)からの調査画像、右:AUVによる調査画像
(出典:海上保安庁海洋情報部技術・国際課資料)not edited.
1-2 海洋状況把握(MDA)及び情報の利活用の推進
少し古い話になりますが、2013年(平成25年)に政府は、海洋に関する多様な情報の収集・集約・共有をスタートさせ、2016年(平成28年)以降はMDAの強化について、「情報収集体制」、「情報の集約・共有体制」、「国際連携・国際協力」の3つのアプローチを定めて、強力に推進してきたところですが、2019年(平成31年)海上保安庁が海洋状況表示システム「海しる」を開発して運用を始めました。これを契機に情報の集約・共有体制の強化も進み、海洋に関する情報が集まりつつあります。このシステムはオープンシステムなので、海を理解するためのツールとして試してみては如何でしょうか?

海しるの説明図・本文付図
1-3 洋上風力発電のEEZ展開に向けた制度整備の推進

出典:海洋レポート令和6年版、本文のまま

再エネ海域利用法の改正案の説明図(本文から)
1-4 特定離島である南鳥島とその周辺海域の開発の推進

出典:海洋レポート令和6年版、本文のまま

南鳥島の位置と付近海底の有望な鉱物資源(出典:海洋レポート令和6年)not edited.
1-5 管轄海域の保全のための国境離島の状況把握

出典:海洋レポート令和6年版、本文のまま

国境離島いろいろ(出典:海洋レポート令和6年)not edited.
より合理的・効果的な状況把握のための新しい手法・技術の導入

出典:海洋レポート令和6年版、本文のまま
1-6 北極政策における国際連携の推進等

出典:海洋レポート令和6年版、本文のまま

海洋研究開発機構(JAMSTEC)の海洋地球研究船「みらい」、出典:ウィキぺディア、not edited.

計画中の北極域研究船「みらいⅡ」のイメージ図(出典:海洋レポート令和6年)not edited.
2 特定有人国境離島地域の地域社会の維持について

出典:海洋レポート令和6年版、本文のまま

特定有人国境離島のリスト(出典:ウィキぺディア)
大韓民国資本による土地買収が進み、加えて過疎化が進行する対馬については、現状の離島振興法では不十分であるとして、「国境対馬振興特別措置法案」が議論されていたが、対馬のみならず有人国境の離島を振興する必要性から「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法」(有人国境離島法)が2016年(平成28年)4月に成立した。2017年(平成29年)4月1日施行、2027年(令和8年)3月31日までの時限立法です。
第3部 海洋に関する施策の取り組み状況 からの抜粋
1 総合的な海洋の安全保障
⑴ 海洋の安全保障

出典:海洋レポート令和6年版、本文のまま
海洋の安全保障に関するKPI

出典:海洋レポート令和6年版、本文のまま
KPI:Key Performance Indicator・重要業績評価指標、KPIを設定することにより、目標達成に向けた進捗状況を把握・管理することができます。
⑵ 海洋の安全保障の強化に貢献する施策 (略)
2 持続可能な海洋の構築
⑴ カーボンニュートラルへの貢献

カーボンニュートラルへ向けたKPI

出典:海洋レポート令和6年版、本文のまま
⑵ 海洋環境の保全・再生・維持


出典:海洋レポート令和6年版、本文のまま
⑶ 水産資源の適切な管理

出典:海洋レポート令和6年版、本文のまま
⑷ 取組の根拠となる知見の充実・活用

出典:海洋レポート令和6年版、本文のまま
3 着実に推進すべき主要施策の基本的な方針(以下⑴~⑹は「海洋レポート令和6年版」の本文の主要部をそのまま掲載しています。)
⑴ 海洋の産業産業利用の促進

⑵ 科学的知見の充実

⑶ 海洋におけるDXの促進

⑷ 北極政策の推進

⑸ 国際連携・国際協力
ア 「海における法の支配」及び国際ルール形成の主導

イ 総合的な海洋安全保障にむけたインド太平洋地域等の諸外国との連携強化

ウ 持続可能な海洋の構築に向けた協力強化

⑹ 海洋人材の育成・確保と国民の理解の増進

参考資料 (略)
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Ⅱ 「四方海話」記事一覧(№52~№66)
№52 世界最大の氷山「A23a」が漂流の旅に出た!
COP28が閉幕
みてくれの悪い魚 ・・・ 追加 ➄ミツクリザメ ➅ニュウドウカジカ
№53 小笠原海台
冬の気象・海象(二題)・・・JPCZ(日本海寒帯気団収束帯) ポーラ―ロウ(極低気圧)
戦禍拡大
№54 能登半島地震
世界の平均気温 ・・・ 「1.5℃の約束」関連
№55 今年も来たゾー! ・・・ オホーツク海の流氷
国際海運・GHGゼロエミッションプロジェクトは今!
みてくれの悪い魚 ・・・ 追加 ⑦オニダルマオコゼ ⑧ホウライエソ ⑨シギウナギ
№56 海水熱水鉱床
太古の大陸 ・・・ アトランティス大陸・ムー大陸・レムリア大陸
№57 ADIZって?
ソマリア海賊復活⁉
大西洋子午面循環(AOMC)が崩壊⁉
№58 スウェイツ氷河(南極)
スノーボールアース
ジュゴンのこと
№59 PFAS
パンサラッサ
№60 「気候変動監視レポート2023」:気象庁
イザナギ「伊邪那岐」プレート
藻場再生やココリスの増殖で地球温暖化は止められる?
№61 クジラとカバが親戚⁉
「VDES」ってなに?
エルニーニョからラニーニャへ‼
№62 堪航性能ってなんだ?
黒潮大蛇行の継続期間が史上最長?
ブル―カーボン!
№63 海鳥
1 アホウドリ 2 オオミズナギドリ 3 カツオドリ 4 ウミウ 5 ウミガラス 6 ウミスズメ
7 アジサシ 8 アカオネッタイチョウ
№64 海上交通の安全は誰が守る?
地球温暖化が着実に進行中!
南海トラフ臨時情報『巨大地震注意』⁉
№65 観天望気
海にまつわる故事や諺
セーマン・ドーマン
№66 液化二酸化炭素の海上輸送‼
海上保安レポート2024
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Ⅲ 大きな心配事⁈
パレスチナでのイスラエルとハマスの紛争が、レバノンのテロ組織ヒズボラやイランの介入によりさらに拡大する中、イエメンのフーシ派が 紅海を航行する船舶を標的として無人機や弾道ミサイルで攻撃を仕掛け、米英海軍が迎撃したとして緊張が高まっています。フーシ派はアメリカやイスラエルに関係する船舶への攻撃だとしていますが事実上はあまり厳密ではないようで、2023年11月19日発生した日本の海運会社の煙突マークを表示した「ギャラクシー・リーダー」(自動車専用船)が拿捕されたのは、「抵抗を受ける可能性が少なく、ヘリによる攻撃(比較的短時間に船の中枢である操舵室の後方にテロリストを送り込める構造)で制圧しやすかったから」に他ならず、日本人の乗組員は乗っていなかった(ウクライナ人・フィリピン人・ブルガリア人・メキシコ人・ルーマニア人の混乗、計25名乗組み)ものの未だに乗組員も船体も開放されていません。
イエメンのフーシ派による航行船舶への攻撃は、この1年で40回以上を数え、海運界に大きな影響を与え続けています。今年(2024年)9月のスエズ運河の通航船舶数は前年同月比で60㌫以上減少し、1日あたり平均30隻弱となり、管理するエジプト政府の収入は半減したとされています。多くの商船は紅海・スエズ運河を避け、アフリカ大陸の南端(喜望峰)を迂回するルート(日数にして10~14日増加)に変更して運航している状況で、貿易物資の運搬コスト増大に繋がっています。
「繁栄の守護者作戦」は、イエメンでの内戦を戦っていたフーシ派がハマスへの連帯を表明して拿捕事件を起した後、フーシ派による航行船舶への攻撃がエスカレートしたため、2023年12月、アメリカが有志国(イギリス・バーレーン・カナダ・フランス・イタリア・オランダ・ノルウェー・セーシェル・スペイン、計10か国)とともに対フーシ派の包囲網を展開しました。
また、今年(2024年)1月3日、アメリカのバイデン大統領の呼びかけにより、同盟国(日本・オーストラリア・バーレーン・ベルギー・イギリス・カナダ・デンマーク・ドイツ・イタリア・オランダ・ニュージーランド、合計12か国)はフーシ派に対して航行船舶への攻撃の停止と拿捕した船舶と乗組員の開放を求める共同声明を発表しています。
1月10日、国連安全保障理事会は、フーシ派による紅海の海運を標的とする攻撃の停止を求める決議案を採択しました。
1月11日、アメリカ・イギリスの両海軍はフーシ派の攻撃能力の弱体化を目的として、イエメンのフーシ派の施設(ドローン基地、ミサイル発射施設、レーダー基地、航空監視施設など12カ所)に対して空爆を行いました。
1月12日、フーシ派は再び紅海の航行船舶に対し対艦弾道ミサイルを発射、命中はしなかったが、米軍はフーシ派のレーダー施設を空爆しました。
フーシ派はこれとは別に、イスラエルのテルアビブなどにもミサイル攻撃(7月19日)を仕掛けていて、これに対しイスラエルはイエメンのフーシ派支配地域(ホテイダ:港湾都市)の発電所や燃料貯蔵施設を攻撃(7月20日)し、双方に死傷者が出ています。
双方に対しての停戦交渉も、仲介国が間に立って様々なチャンネル使って水面下で行われている様ではありますが、双方の不信感は大きく、報復の連鎖が続いている状況です。
ポイントは、ハマスの人質解放とイランによるイスラム原理主義組織(ハマス・ヒズボラ・フーシ)への武器供与を止めさせることにある思うのですが??? 「そんなことは判ってる、そんなに簡単なことじゃないんだよ!」と𠮟られるかもしれませんが、いつか誰かが和平の仲介により積極的に関わっていかなければ、殺戮と破壊の連鎖は止まらず、死傷者は増え続け、怨嗟の渦は膨らんでゆくばかりになってしまいます。

イエメン・アデン湾付近の地図(出典:グーグルマップ)「©Google」.not edited.
以下、10月7日のグテーレス国連事務総長のメッセージです。


(出典:国連広報資料)原文のまま
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四方海話 67 ー ときの話題 ー §24 「おわり」
次回は 四方海話68 ー ときの話題 ー §25 です。

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