― ときの話題 ― その11
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小笠原海台(おがさわらかいだい)
「総合海洋政策本部」(本部長:岸田首相)の12月22日の会合で、小笠原父島東方の海底に存在する「小笠原海台」を日本の大陸棚と定めることを明らかにしました。
小笠原海台と南硫黄島海域は、南方にアメリカ領の北マリアナ諸島が存在するため、日米間の大陸棚延長部分が競合し、国連海洋法条約(UNCLOS)の規定(大陸棚の延長申請をする国は、申請する範囲が他国の延長海域と重なる場合、その国と境界について協議する必要がある)に基づき協議を重ねていたところ、その協議が終了したことによるものです。
大陸棚の延長は、領海の基線から最大350海里(648.2㌖)若しくは2,500㍍等深線から100海里(185.2㌖)のいずれか遠い方まで認められます。
日本は、2008年に大陸棚の延長を申請、2012年約31万平方キロメートルの延長を認めるとの勧告を受けていますが。この時点では小笠原海台海域は含まれていませんでした。今回アメリカとの協議で見通しが立った区域は約12平方キロメートルの下図の海域です。

小笠原海台海域(出典:内閣府・総合海洋政策本部資料)
小笠原海台海域の最大水深は約5600㍍、海域内の海山頂部で1200~1400㍍だそうですが、これほど深い海底に垂直に穴を掘って、海底下に眠っている資源を調査するには非常に高いレベルの技術とノウハウが必要となることは言うまでもありません。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)の「深海掘削船・ちきゅう」(総トン数約57.000㌧、全長210㍍、竣工2005年7月)は深海の掘削専用に設計・建造された船で、船としての基本性能はもちろん洋上で掘削作業中に船位を保持するための推進システムや研究室の他、コアとなる掘削システムについても世界で唯一 *「ライザー掘削システム」を備える最新鋭の掘削船です。
*「ライザー掘削システム」: 石油プラットホームでの海底油田の掘削に使われているが、科学掘削船としては世界初となる。掘削用ドリルパイプはライザーと呼ばれる中空パイプの中を通っていて、ライザーは掘削船から海底面まで達し、そこから先はドリルパイプだけで掘り進んでいく。ドリルパイプの先端からは比重の大きい泥水が噴出しており、掘削孔内の壁面圧力を調整するとともに、泥水のしっくい効果によって掘削孔の崩壊を防止している。また、ライザーを通して泥水や削りカスを回収しながら掘り進むことができる。さらに、ライザーの先端部(海底面)には防噴装置が取り付けられ、石油やガスが噴出した場合は掘削孔内に留めることができる。(JAMSTECの説明文から引用、太字・下線は筆者)

深海掘削船「ちきゅう」の画像(出典:ウィキぺディア)
Photo taken by Gleam. CC 表示-継承 3.0
「ちきゅう」は就役以来、不具合や故障を乗り越え、日本近海での様々なプロジェクトの他、ケニア、オーストラリア、インドなど外国のEEZ内でも海底掘削を行いデータを提供したほか、2013年には経済産業省からの委託プロジェクトで三重県沖でメタンハイドレードから天然ガスの産出に成功しています。現在は熊野灘や紀伊水道沖に展開された地震・津波の観測監視システムの構築に当たっているらしく、今後のスケジュールもぎっしり詰まっていそうですが、「小笠原海台海域の延長大陸棚の範囲を定める政令」(正式名称・時期は不明)が制定され次第、再検討されそうです。
冬の気象・海象(二題)
JPCZ(日本海寒帯気団収束帯又は線状降雪帯)
冬場の日本海に大陸から吹き付ける北西の強風、これが朝鮮半島の長白山脈(最高峰は白頭山2.744㍍)で二つに分かれ、日本海西部で再び出会い(収束して)、長さ約1.000㌖の降雪帯となって大量の雪を降らせる。
下の画像はフリー百科事典(ウィキぺディア)の画像に日本の海岸線(茶色)を書き加えたものです。画像に付属した注記文を原文のまま掲載します。「日本海の西半分にはっきりとした筋状雲が現れた衛星画像。長白山脈(赤丸)の風下では左右で筋状雲の方向が異なる。両者が収束する黄色の破線と点線の間は帯状対流雲となり、その南縁(黄色破線沿い)には濃密なJPCZの雲の帯がある」(太字・下線、筆者加筆)

JPCZの衛星画像(出典:ウィキペディア)
JPCZの線上ではしばしば積乱雲が発達して雷や雹(ひょう)を降らせ、激しい気象となることがあるほか、日本列島を超えて太平洋側にまで延びることもあるそうです。

長白山脈付近の地形図(原図出典:ウィキペディア 赤丸は白頭山、濃い青線は長白山脈、薄い青は風の方向を示す。筆者加筆)
ポーラーロウ(極低気圧)
両極地方や *「極前線帯」(きょくぜんせんたい)で発生する低気圧のことです。気温が低い寒気団の中で発生するため、暖気流の流入がなく、また、前線を持たず雪雲自体がまとまった渦巻きとなっています。「真冬の台風」「真冬の小悪魔」などの異名があります。
*「極前線帯」:両極の寒気団と熱帯気団の境界をなす前線帯のことで、季節や地理により変動はありますが、日本海の場合は概ね北緯40度付近となります。
他の低気圧に比べ規模が小さく、天気図上では隠れ低気圧として描かれない場合もあるものの、ときには突発的・局地的な豪雪・豪雨・暴風雪・暴風雨・雷など激烈な天候をもたらすものもあります。

ポーラ―ロウの衛星写真・北海道西方、日本海北部(2009年12月20日)(出典:ウィキペディア)
同じく、冬期に急速に発達して熱帯低気圧(台風)並みの暴風雨・暴風雪をもたらす温帯低気圧を指して爆弾低気圧(ばくだんていきあつ)と呼ぶ場合がありますが、こちらは規模が大きく発生過程も異なります。
戦禍拡大
12月23日(土)午後3時(日本時間)ころ、アラビア海をサウジアラビアからインドのマンガルール向け航行中のリベリア船籍で日本の会社が所有しオランダの会社が運航しているケミカルタンカーが自爆型無人機(ドローン)による攻撃を受け損傷した旨の報道がありました。発生位置はインド・グラジャート州・ベラバルの南西、約200海里(約370㌖)付近で、乗組員(インド人20人、ベトナム人1人)は全員無事由、米国防総省はイランからの攻撃としているがイランは否定しているらしい。
世界各国の海運会社は、インド洋からEU各国へ航路を紅海ースエズ運河ルートから喜望峰迂回ルートへシフトすることを決定しました。マースクライン(デンマーク)・ハパックロイド(ドイツ)・MSC(スイス)・CMA CGM(フランス)に続いてONE(日本)・エバーグリーン(台湾)・HMM(韓国)も・・・・!
仮に日本の横浜港からマルセイユ(フランス、地中海側の港湾都市)までの航海を想定すると、距離にして5.000マイル(海里)、時間にして約12日間(18ノットで計算)のロスが出て、経費(燃料費、人件費など)も✖2で増えることになり、長引くほどに貨物運賃も上がって輸入品の値段に跳ね返ってくることとになります。
現代では航海計器が発達して、南緯40度線(吠える40度)を航海することは大時化は別として比較的安全なのでしょうが、アフリカ大陸南端の喜望峰沖は南米大陸先端のホーン岬と同様、航海の難所に数えられています。

喜望峰の画像(撮影者PaddyBriggs[英] 出典:ウィキぺディア)
次回は 四方海話 54 ーときの話題ー その12 です。

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