四方海話 54

ー ときの話題 ー   その12

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能登半島地震

 能登半島地震の原因について調べてみると、「地殻流体」という言葉にぶつかります。私自身の不勉強もあり、馴染みの薄い用語ではありますが、2007年(平成19年)3月に発生した「平成19年能登半島地震」(石川県輪島深度7、M6.9)も今回の「群発地震」と同じ起源の地殻流体によって引き起こされたとされています。

 政府の「地震調査委員会」「令和6年能登半島地震」について分析し、今回地震があった活断層は委員会が行っている「長期評価」の対象外で、既知のものではなかった旨の説明でした。

 能登半島東北部で2020年末ころから地震活動が活発化し、2023年5月には珠洲市で最大震度6強(M6.5)の地震が起きて大きな被害が生じましたが、活発な地震活動が2年半以上の長期間に渡って継続している原因がよく分かりませんでした。

 能登半島近辺で過去発生した主な地震は

  • 1729年8月1日(享保14年7月7日旧暦)能登・佐渡地震、M6.6~7.0、旧能登国鳳至郡(ふげしぐん)で死者5名、佐渡ヶ島での人的被害に関する資料なし
  • 1892年(明治25年12月9日)能登地震、M6.4、死者11名、負傷者5名
  • 1933年(昭和8年9月21日)七尾湾地震、M6.0、死者3名、負傷者55名
  • 1985年(昭和60年10月18日)能登沖地震、M5.7、(震源は舳倉島付近)
  • 1993年(平成5年2月7日)能登半島沖地震、M6.6、重軽傷者25名
  • 2007年(平成19年3月25日)能登半島地震、M6.9、死者1名、負傷者356名
  • 2020年(令和2年12月~継続中)能登群発地震
  • 2023年(令和5年5月5日)令和5年奥能登地震、M5.9、死者1名、負傷者48名
  • 2024年(令和6年1月1日)令和6年能登半島地震、M7.6、死者210名以上、重軽傷者550名以上、安否不明者50名以上(1月11日現在)

 京都大学、金沢大学、東北大学の共同研究グループは、国土地理院の *¹GNSS観測点とソフトバンク株式会社独自の基準点、京大、金沢大が設置した臨時観測点のデータを統合して解析したところ、『2020年11月~2022年12月の間に群発地震の震源域を中心として最大約7cmの隆起と、群発地震の震源域を中心として地殻の膨張を示すような水平方向の変動が明らかになり、この結果と地域の地殻構造、地震活動を考慮したうえで変動の原因を推定したところ、2020年11月から3ヶ月ほどの間に大量の流体(地殻流体?)が深さ約16㌖まで上昇し、能登半島の地下にある透水性の高い逆断層帯内で拡散したことにより、この断層の深さ14~16㌖で *²非地震性逆断層すべり(スロースリップ)を誘発し、さらに断層帯の浅い部分で活発な群発地震を起こしていたことが明らかとなりました。2020年11月~2022年6月の間に上昇した流体の総量は約2.900万㎥(東京ドームの約23杯分)に達し、この大量の流体の上昇が長期にわたるスロースリップと群発地震を引き起こした原因と考えられます。この研究で推定された流体の上昇とスロースリップの発生は、能登半島北東部周辺の活断層帯における応力を増加させるとともに群発地震の震源域周辺で大地震の発生を促進させる可能性があります。さらには群発地震による地震動による応力擾乱が活断層帯に作用することで、大地震の発生時期が早まる可能性があることを指摘していました。』としています。

 *¹GNSS:Global Navigation Satellite System(全球測位衛星システム)船舶、航空機、自動車のカーナビなどに利用されています。

 *²非地震性逆断層すべり:地震学の用語、通常の地震によるプレートのすべり(スリップ)よりもはるかに遅い速度で発生する滑り現象を指し、「スロースリップ」「ゆっくりすべり」「ゆっくり地震」「ゆるゆる地震」などとも呼ばれます。

(『』内は、2023年6月7日付け発表、京大・金沢大・東北大の共同レポート「流体とスロースリップに駆動された能登半島群発地震」、サブタイトル「ソフトバンク独自基準点データを用いた地殻変動解析結果」の一部、筆者要約)

 他方、東京工業大学が、2022年11月に公開した「地殻流体によって誘発された能登半島の群発地震」、サブタイトル「非火山地域への流体の供給と2007年能登半島地震との類似性」の中で、『2003年~2020年12月までに能登半島周辺で発生した地震のP波・S波到着時刻データを用いて*³地震波トモグラフィを行い、地下の深さ40㎞までの地震波速度構造を推定した。得られた解析結果から、能登半島北部の*下部地殻は地震波の伝わる速さが周囲に比べて遅い領域が北東・南西方向に広がっていることがわかった。(中略)一般に地下に流体やマグマが存在すると地震波の速度が遅くなる。能登半島には火山が存在せず、地下にマグマだまりがあるとは考えられないことから、見つかった下部地殻の地震波低速度域は地殻流体の存在が原因であると解釈できる。下部地殻に存在する地殻流体が、何らかのきっかけにより地震が発生する上部の地殻に突如供給され始めたことで、2020年12月から地震活動が活発化したと推測される。群発地震活動は深さ約15㎞から始まり、徐々に浅部に拡大したことがわかっている。この地震活動の浅部への拡大も地殻流体の上昇が原因であると考えると、一連の活動の推移を説明できる。(中略)本研究の結果から、2007年能登半島地震と今回の群発地震の原因がともに下部地殻に広く存在する流体であり、その両方の流体が繋がっていて、同じ起源をもつこともわかった。』 

*³地震波トモグラフィ:地震波(P波・S波)の到着時刻データを用いて地球内部の三次元的地震波速度構造を求める方法。

*⁴下部地殻:地球表面は約30㎞の厚さの岩盤(地殻)で覆われている。地殻上部(深さ約15㎞まで)は主に花崗岩で構成されており地震が発生するが、玄武岩質の岩石で構成される下部地殻では地震はほとんど発生しない。

(『』内は東工大発表資料の一部、原文のまま。太字部分強調は筆者)としています。

震央分布図・2020年12月1日~2024年1月8日09:00・深さ0~30㎞、M3.0以上

2024年1月1日以後の地震を赤枠表示、吹き出しは最大震度5強以上(出典:気象庁資料)

 下図は、まだ確定値ではありませんが、国土地理院が観測、発表した水平方向の地殻変動データ解析結果です。

地殻変動の様子・暫定値(出典:国土地理院資料)

 地殻流体は、地球の表面を構成する地殻(陸部で厚さ約30㎞・海洋で約6㎞)に含まれる流体(液体と気体が混ざった状態のもの)を指します。また、地殻の深い部分に分布している流体は地殻深部流体と呼ばれます。これらの主な成分は水(H₂O)・二酸化炭素(CO₂)・メタン(CH₄)であるとされていますが、各地に湧き出している温泉も地殻流体の一部とされていますので、温泉成分表を見ればその他の成分も確認できます。

 能登半島地震だけでなく多くの地震発生に関与しているらしいことは判ってきましたが、高温・高圧の流体が、どこで生成されて、どのように地殻内部に集積され、地殻に対して如何に作用して群発地震の発生に至るのか、メカニズムの解明にはもう少し時間がかかりそうです。

 地殻内部の構造を探るためのには、東工大の研究のように、地震波の解析による方法がありますが、近年では、陸上部分だけではありますが「地磁気地電流法」(MT法)も新たな手段として有効なものとなっています。この方法は既に実用化されていて、石油・ガス・地熱・金属などの地質構造の探査に用いられています。問題は海洋部分ですが、海上保安庁海洋情報部が大陸棚調査の際に用いた手法は、エアガンと呼ばれる装置で海面付近で爆発音を発生させて海底や海底下の地層の境目で反射した音をストリーマーケーブル内のセンサーで受信して解析する「反射法音波探査」と、海底に入った音波が地震波として地殻の中を伝わる様子を屈折波受信機(地震計)でキャッチし、後で受信機を回収してデータを解析する「屈折法音波探査」があります。手間はかかりますがこの手法で集めたデータで大陸棚の限界が確定しましたが、海底下の活断層の探査など地震学の分野でも活用できます。また、データは海底地形の基礎データとして利用されています。

反射法音波探査・屈折法音波探査の模式図(出典:海上保安レポート2007)

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世界の平均気温

 2023年の世界の平均気温は、14.98℃だったとの報道がありました。2021年のCOP26で合意を得た「1.5℃の約束」までは余すところ0.02℃・・・既に誤差の範囲?

 国連の1.5℃の約束ーいますぐ動こう、気温上昇を止めるためにキャンペーンは、期間を今年1月1日から12月31日までとし、集中期間として9月1日(国連総会ハイレベル・ウィークの開幕)からCOP29の閉幕(11月22日・予定)までとしています。

 エルニーニョ現象は継続中、三陸沖の海水温度は平年に比べて依然として高く、今年の夏は去年よりさらに暑そう!加えて震災の復興対応も!そう云えば海上コンテナの列車輸送へのシフト(モーダルシフト)はどうなったのだろう?

 海外では地球そのものの危機だというのに、戦争を止める気配どころかエスカレートするばかりの状況です。住むところや文化の違いはあるものの、みんな地球人なのだという意識はないのだろうか?

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次回は  四方海話 55   ー ときの話題 ー  その13  です。

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