ー ときの話題 ー §21
海上交通の安全は誰が守る?
地球温暖化が着実に進行中!
南海トラフ臨時情報『巨大地震注意』⁉
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海上交通の安全は誰が守る?
いろいろな書籍や文献を調べたり、海事関係者に話を聞いてみてもほとんどが「海上保安庁」という答えが返ってきます。果たしてその考え方は正しいのでしょうか? 筆者としては日本社会全体が「安全」を人任せにしているような気がするのですが!
海上保安庁法第2条1項は、「海上保安庁は、法令の海上における励行、海難救助、海洋汚染等の防止、海上における船舶の航行の秩序の維持、海上における犯罪の予防及び鎮圧、海上における犯人の捜査及び逮捕、海上における船舶交通に関する規制、水路、航路標識に関する事務その他海上の安全の確保に関する事務並びにこれらに付帯する事項に関する事務を行うことにより、海上の安全及び治安の確保を図ることを任務とする。」となっています。
「屁理屈だ!」と 批判されるかも知れませんが、「海上交通の安全」の文言は見当たりません。海上保安庁が行うのは、海上交通の安全に関わるインフラの整備・充実、秩序の維持、海難発生時の早急な救助体制の確保です。
その昔、老練な海上保安官から聞いた話ですが、「小さな漁船が燃料切れで漁場から帰港できなくなり、救助要請に応じて出動した際のこと、通常速力の半分ぐらいで本邦向け曳航救助中、漁船の方から『もっとスピードが上がらないか』旨の連絡があり理由を正したところ、曰く『漁獲物が傷んで(腐って)売り物にならなくなる』由だったとか。「救急車を病院へのタクシーの代わりに出動要請する人達」を連想させる話でもありますが! 船舶の燃料切れは「船乗りとして最も恥ずべきミス」とされています。
曳航による救助活動の際は、帰りを急ぐあまり速力を上げて引っ張ると被救助船を壊してしまう恐れがあるため、外洋で比較的海上平穏な場合でも被救助船の普段の最大速力以下(80%程度)で曳航することと、曳航に使用するロープの長さや引張強度はもちろんのこと、気象海象の変化にも最大限の注意が不可欠なのだそうです。
話を元に戻して、「それでは誰が?」となりますが、当然ながら船舶の運航者と船長ということになります。個人所有のプレジャーボートの洋上での安全・安心を担うのは、誰あろう「船長」その人しかいないのです。スキルや能力に自信がなければ友人や家族は乗せない方がいい!
「知床遊覧船事故対策検討委員会」が「KAZUⅠ」事故の最終報告書を発出した際の「安全」に関するコメントは主に遊覧船(旅客船)事業者に対するものではありますが、のみならず海事関係者全てにあてはまるものとして、肝に銘じておきたいと思います。「四方海話62」に掲載済ですが再掲します。
『安全は、旅客船に係る事業を営む際の大前提であり、当検討委員会は、旅客船に関わる全ての関係者が、守るべきルールを守り、行うべき事項を確実に行うことを求める。今回の事故ではこの点に足らざる部分があり、旅客や乗組員の命を預かる者としての知識・技能、そして責任感や気概といったシーマンシップというべきものを欠いたまま船を漕ぎ出せば、再び同様の事故が起こりうるということを、海事に携わるもの一人一人がしっかりと心に留めなければならない。』(原文のまま、太字・下線は筆者加筆)
知床遊覧船事故対策検討委員会「旅客船の総合的な安全・安心対策」1はじめに より抜粋
他方、AIS(Automaatic Identification System:船舶自動識別装置)の船舶への搭載義務規定は
- 国際航海に従事する300総トン以上の全ての船舶
- 国際航海に従事する全ての旅客船
- 国際航海に従事しない500総トン以上の全ての船舶
となっていて、それ以外の船舶(漁船、内航小型船、工事作業船、プレジャーボート、遊漁船など)については任意搭載(届け出のみ)としています。搭載義務のない船舶には価格も比較的安いAISclassB(簡易型AIS)が販売されているのですが、日本では他の海洋先進国に比べその搭載率が極端に低迷しているのが実情で、「海上交通の安全に対する意識が低い」と指摘されても仕方がない状況です。
その原因はどこにあるのでしょうか? ・・・少し古い(約10年前)データですが、プレジャーボートのオーナーに対するアンケート調査資料には
- 操船判断に用いる情報は目視で十分である。
- AISの安全性向上に関しては有効だと思うが、高価な装置であり利用頻度が少ないから搭載しない。
- 航行海域が母港付近のみで、天気が良く海上が平穏の時しか航行しない。
などの意見が挙げられていて、なかにはAISシステムそのものについて知らない旨の回答もあったらしいですが、現在(2024年)では海に関わっている人の殆どが知っていると考えてよいものと思います。


船舶事故隻数の推移(上)と船舶事故の船種別割合〔令和5年〕(下)
出典:海上保安レポート2024から抜粋(無加工)
上の二つのグラフは昨年(2023年・令和5年)の船舶事故の発生・確認件数を海上保安庁が集計したものですが、ここ数年、船舶事故隻数全体と死亡・行方不明者数は漸減、船種別割合では依然としてプレジャーボートと漁船の事故が、併せて72%を占めていることが見てとれます。
AISclassBの装置の価格は、外国製の日本仕様で24~25万円(2024年7月現在・筆者調べ)が高いのか安いのか?「船体価格と自分の命(+同乗者の命)の値段とを足して、装置の価格とを秤に懸ければ決して高くはない」と筆者は思うのですが! またさらに、衝突事故の場合、自船の方に過失が認められれば相手側から莫大な損害賠償金を請求されかねません。陸の交通事故と違って海上では、船そのものの大きさ(質量)は桁違い、材質も大違い!FRP製の小型PB(プレジャーボート)や小型漁船と鋼製の船舶がぶつかった場合などはどちらの被害が大きくなるかは明らかです。
大切なことをもう一つ! 1990年(平成2年)に「三級海上特殊無線技士」の資格制度が新設され、出力5ワット以下のVHF無線装置が扱えることになりました。講習会と確認テスト程度で資格取得可能で、装置(ボディートーキー型)も小遣い銭程度で入手可能、型式認定制度を採用しているので無線局としての定期検査も簡易です。一般船舶と同じ平面(海面)を利用する者として、相互にコミュニケーションをとることは安全対策に大きく寄与することは間違いありません。
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地球温暖化が着実に進行中!
地球温暖化に関する主要な指標の公表値(公表されているもの)を集めてみました。
温室効果ガスの濃度
・二酸化炭素(CO₂)

二酸化炭素濃度の経年変化(出典:気象庁HP)
・メタンガス(CH₄)

メタンガス濃度の経年変化(出典:気象庁HP)
・一酸化二窒素(N₂O)

気象庁観測点(綾里:岩手県)での亜酸化窒素濃度の経年変化(出典:気象庁HP)
温室効果ガス(GHG)は上記のほか【ハイドロフルオロカーボン(HFCs)類】【パーフルオロカーボン(PFCs)類】【六フッ化硫黄(SF₆)】【三フッ化窒素(NF₃)】などが挙げられています。
世界の平均気温

世界の平均気温偏差(出典:気象庁HP)
海面温度

世界の海面水温の平年差(出典:気象庁HP)
海洋酸性化


北西太平洋の海洋酸性化の状況(出典:気象庁)
海面水位の上昇(日本各地の気象庁の沿岸観測点)

海面水位偏差の経年変化(出典:気象庁HP)
注)グラフの縦軸:単位㎜(−140㎜~+140㎜)・横軸:西暦(2004年~2024年)
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南海トラフ臨時情報『巨大地震注意』⁉
今回の南海トラフ臨時情報(巨大地震注意)は、私の不勉強でシステムの存在を知らず、大変唐突な感じを受けましたが、幸い内閣府の提供画像、海上保安庁の調査結果、気象庁のホームページなどで丁寧な解説を見ることができ、勉強になりました。
南海トラフの海底地形図と海底地殻の移動速度

南海トラフ海底地形図と海底地殻の移動速度・方向(出典:内閣府HP)、not edited.
日向灘地震(2024年〔令和6年〕8月8日16:43発生)の発生位置

発生位置図(出典:気象庁)、not edited.
想定震源域の構造模式図

震源域付近の構造模式図(出典:気象庁)、not edited.
発生メカニズムの概念図

発生メカニズムの概念図(出典:気象庁HP)、not edited.
南海トラフ地震に関する情報の種類と条件

南海トラフ地震に関する情報の種類及び発表条件(出典:気象庁)、not edited.
「南海トラフ地震臨時情報」に付記されるキーワードと付記する条件

南海トラフ地震臨時情報に付記されるキーワードと付記する条件(出典:気象庁)、not edited.
南海トラフ地震の歴史

(出典:気象庁HP)、not edited.
日本周辺で地震が起こる場所


1960年~2011年の間の地震発生分布図(出典:気象庁HP)、not edited.

日本付近のプレートの模式図(出典:気象庁HP)、not edited.

南海トラフ地震関連解説情報(第7号)【令和6年8月15日】(出典:気象庁、一部抜粋)
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次回は 四方海話65 ー ときの話題 ー §22 です。

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