— ときの話題 — その6
海洋国家 ・ 元寇に使用された船 ・ 東京都がPFASの追加調査
・・・ 海洋国家 ・・・
辞書では、「海洋国家」とは「大陸国家」に対比する地政学的な概念であり、「海との関わり合いが大きい国家のことをいう」と説明されていますが、海岸線の長さや領海・EEZの広さ、海軍の軍事費の多小、船籍船の船腹量などの数値、島国、半島など地理的条件が必要とされるものでもなく、明確な定義が見当たりません。
他方、国際社会で「国家」としての資格要件については、「国家の権利及び義務に関する条約」(モンテビデオ条約:1933年)のなかでは、
- 永久的住民
- 明確な領域
- 政府
- 他国との関係を持つ能力
が必要とされ、諸国間の平等、他国への干渉の禁止、武力による領土変更の禁止等について規定されています。成立当時の、条約の署名国は
アメリカ合衆国・アルゼンチン・ウルグアイ・エクアドル・エルサルバドル・キューバ・グアテマラ・コロンビア・チリ・ドミニカ共和国・ニカラグア・ハイチ・パナマ・パラグアイ・ブラジル・ペルー・ベネズエラ・ボリビア・ホンジュラス・メキシコ(20ヵ国)
でしたが、国家の要件についての明文規定であり重視されています。
・・ 歴史上海洋国家と呼ばれた国々 ・・
- フェニキア BC15~BC8 現レバノン共和国付近
- アテナイ BC2~AD6 現ギリシャのアテネ付近で栄えた都市国家(ポリス)
- カルタゴ BC9~AD5 北アフリカ、現チュニジア共和国(チュニス)付近
- トンガ大首長国 AD10~ 現トンガ王国
- ジェノヴァ共和国 1005~1797 サルデーニャ島(地中海)、キオス島(エーゲ海)、クリミア半島南部沿岸、コルシカ島など
- ヴェネチア共和国 BC7~1797 現ヴェネチア
- ポルトガル海上帝国 1415~1999 現ポルトガル
- スペイン帝国 1492~1976 現スペイン
- オランダ海上帝国 1607~1975 現オランダ
- イギリス帝国 AD16?~1997 現イギリス
- オマーン帝国 1696~1856 現オマーン
- フランス植民地帝国 1534~1980(バヌアツ共和国独立まで) 現フランス 共和国
- 大日本帝国 1868(明治元年)~1947(日本国憲法施行) 現日本
・・ 海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約:UNCLOS) ・・
国連海洋法条約は別名「海の憲法」と呼ばれ、領海および接続水域、国際海峡、群島水域、排他的経済水域、大陸棚、公海、島、閉鎖海および半閉鎖海、内陸国の海洋への出入りの権利、深海底、海洋環境保護・保全、海洋科学調査、海洋科学技術、国際海洋法裁判所の設置による国際紛争の解決など、海洋に関して包括的かつ一般的な規定を設けています。(1994年11月発効)
・・ 海洋基本法 ・・
上記、国連海洋法条約が発効してことを受けて、平成19年(2007年)日本の国内法として「海洋基本法」が成立、施行されました。
第一条(原文のまま)
この法律は、地球の広範な部分を占める海洋が人類を始めとする生物の生命を維持するうえで不可欠な要素であるとともに、海に囲まれた我が国において、海洋法に関する国際連合条約その他の国際約束に基づき、並びに海洋の持続可能な開発及び利用を実現するための国際的な取組の中で、我が国が国際協調の下に、海洋の平和的かつ積極的な開発及び利用と海洋環境の保全との調和を図る新たな海洋立国を実現することが重要であることにかんがみ、海洋に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにし、並びに海洋に関する基本的な計画の策定その他海洋に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、総合海洋政策本部を設置することにより、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって我が国の経済社会の健全な発展及び国民生活の安定向上を図るとともに、海洋と人類の共生に貢献することを目的とする。
となっています。下線部の「総合海洋政策本部」は、2017年「内閣府」に事務局が移管され、以後「海洋レポート」として業務の広報用冊子を毎年発出していて、今の日本の海を概観するのには便利です。
・・・ 元寇に使用された船? ・・・
元寇(蒙古来襲)については「四方海話 19」で掲載しましたが、元寇当時の軍船?の残骸が長崎県松浦市鷹島の「鷹島神崎遺跡」(たかしまこうざきいせき:水中遺跡)で発見された旨の報道がありました。発見されたのはキール(竜骨:幅50㌢の角材、長さ約12㍍まで確認)と外板(幅15~25㌢、厚さ約10㌢、長さ1~6㍍)とのことです。キールが幅50㌢の角材とのことですから、船自体はかなり大型の軍船と考えられます。総隻数4,000隻以上が押し寄せたと云いますから、その中でも上位の指揮官が乗る指揮船クラスだったのではないでしょうか?
周囲の調査が進み、船の全体像が公表されるのが楽しみです!
・・・ 東京都がPFASの追加調査 ・・・
10月19日に、岡山県内の浄水場で基準の24倍の濃度のPFASが、また、三重県でも3.4倍の濃度が検出された旨の報道がありました。前回、国の基準を超えた神奈川県、長野県、兵庫県、沖縄県では今回は基準値を下回ったそうです。
10月26日には、東京都ではこれまでの調査で基準値を超えたのが17自治体にのぼり、さらに詳しい現状把握のため、多摩地区で追加調査をすることになったと報道されました。ただし、これは地下水の調査であって河川・海域ではありません。
河川では河底の土砂に、さらに海域では海底の土砂にPFASが蓄積されていくのは容易に想像できますが、東京湾での調査はしないようです。ちなみに、土壌や河川・海域の水底土砂についての基準値の設定はなく、水道水についてはPFOSとPFOAの合算値で50ng/L以下は変更されていません。
四方海話 47 「おわり」
次回は 四方海 48 ー ときの話題 ー その7 です。

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