四方海話 12

第五話   ー 海の怪物(魔物・妖怪)ー 

その1 日本編

・ 海坊主(うみぼうず)、海法師(うみほうし)、海入道(うみにゅうどう)、黒入道(くろにゅうどう)、海和尚(うみおしょう)、船入道(ふねにゅうどう)

 地方によって名前は様々ですが海に出没する妖怪で、多くは夜間に現れる。穏やかだった海面が突如盛り上がり坊主頭が出現し船を壊す。現れては「杓子(しゃもじ)」あるいは「柄杓(ひしゃく)」を貸せなどと言いつつ周囲を回りながら船を沈めようとするのだそうな。「船幽霊」(ふなゆうれい)と同一視される。ときに集団で船を襲い、船体や櫓(ろ)に抱きついたり、篝火(かがりび)を消すなどするほか、「ヤアヤア」と声を発しながら船の周囲を泳ぎ回ったり、櫓などで殴ると「アイタタタ!」などと悲鳴を上げるそうです。

海坊主:鳥取県境港市水木しげるロード・原作者:水木しげる・出典ウィキペディア>

・ ぬらりひょん

 「備讃灘」(びさんなだ:瀬戸内海のうち岡山県と香川県に挟まれた海域)に出没する。人の頭くらいの大きさ、球状の物体で、船上に引き揚げようとするとヌラリとかわして海中に没し、再びヒョンと浮き上がって姿を現し、人をからかう。

・ 海小僧(うみこぞう)

 静岡県賀茂郡の磯では、釣りをしていると釣り糸を辿って海面に顔をのぞかせ、にっこりと微笑むのだとか!頭デッカチで目が大きく髪が長い。可愛らしい小僧?妖怪。

海小僧:鳥取県境港市水木しげるロード・原作者:水木しげる・出典ウィキペディア>

・ 波(浪)小僧(なみこぞう)

 遠州灘沿岸地方(旧遠州国沖:静岡県西部)に伝わる妖怪伝説、遠州の七不思議の一話に数えられている。奈良時代の高僧(日本で最初の大僧正)「行基聖人」が母親の病気快癒を祈願して二体の藁人形を作り田植えをさせた、田植えが終った後にお経を聞かせて風雨による災害が起きそうな場合は事前に民衆に知らせるよう申しつけ川(天竜川?)に流した。藁人形のうち一体は海まで流れ漁師の網に掛かった。藁人形(波小僧)は命乞いをして「助けてくれれば波の音で天気を知らせる」旨の約束をする。漁師は波小僧を放してやったところ波間に姿を消した。その後、遠州灘(石廊崎~伊良湖岬)の波の音は独特の響きを持つようになり、波の響きが南東から聞こえれば雨、南西から聞こえれば次第に晴れると知ることができるようになったと伝えられている。

・ モクリコクリ(むくりこくり・≒蒙古高句麗)

 クラゲのように海上を群れて漂うと云われ、鎌倉時代の文永・弘安の役の際の蒙古・高句麗軍水死者の霊だという説もある。また、現代でも幼児がグズルときに躾のため「もっこが来るぞ」と言ってなだめる地方もあると聞いていますが、「もっこ」≒蒙古で、東国から参加した北九州で任務についた防人衆が出身地へ持ち帰った話ではないかと推定できる。

・ 八百比丘尼(やおびくに)

 八百比丘尼伝説は、北海道と南九州以南を除くほぼ日本全国に伝承があり、(やおびくに)(はっぴゃくびくに)(おびくに)(しらびくに)など地方により呼び方は様々で、伝承の内容も細かな部分で異なるものの大筋は以下のとおりです。

 ある男が見知らぬ人に誘われ家に招待されて夕食をともにすることとなったが、そこで偶然に「人魚」の肉が料理されているのを見てしまう。のち、ご馳走として食卓に上るが男は気味悪がって食べず土産として持ち帰る。事情を知らない男の娘がそれを食べて不老長寿を得る。そののち娘は村で暮らすが夫に何度も死に別れ、知り合いも皆亡くなってしまったため出家し「比丘尼」となって全国を行脚、最後に若狭国小浜(福井県小浜市)の「空印寺」(くういんじ)に辿り着き入定する。年齢は八百歳であった。空印寺には八百比丘尼が入定したとされる洞窟が、また、市内の神明神社には八百比丘尼を祀る社(八百姫宮)がある。

・ 海難法師(かいなんほうし・かんなんぼうし)

 伊豆七島に伝わる幽霊の一種。江戸時代に島民から憎まれ殺された悪代官の霊とされ、毎年1月24日を物忌み日としている。島により伝承の内容が異なる。

・ アマビエ

 肥後国(熊本県)、日向国(宮崎県)、越後国(新潟県)などの海岸に現れたとされる半人半魚の妖怪?人魚に似ているものの、口は嘴(くちばし)状で首から下は鱗(うろこ)に覆われ、三本足(四本とも)だったとか!米の作柄や疫病の流行についての予言能力があったらしい。コロナウィルスのまん延で脚光を浴びることとなりました。

肥後国海中の怪(アマビエの図)・京都大学付属図書館所蔵

 かってに想像すると、この図は海岸に上陸してきた皇帝ペンギンを描いたもののではないかと思われる。三本足の中央はシッポの見誤りで腕(手)は無く、長い髪は体の模様だったのではないだろうか?ただし、弘化三年四月(1846年:江戸時代)熊本県の海岸にペンギンが居たかどうか?は不明です。

・ アマビコ(海彦・天彦・天日子・尼彦・雨彦)

 同じく熊本県(肥後国)他の海岸に現れたとしてアマビエ出現の後の時代に話題となった。アマビエに体形は似ているものの全体が黒い毛で覆われている。もしかしたらアマビエの子供だったのかそれとも番(つがい)だったか?

・ ザン

 鹿児島県奄美群島や沖縄県の伝承上の人魚(ジュゴンのこと?)。石垣島では1771年4月24日に発生した明和大津波を予言して、若い漁師と村民が被災を免れたとの伝承があるそうです。


 海に関係する怪物や妖怪は地方色が豊かで種類も多い。ここに紹介したものはほんの一部に過ぎず、興味ある方はさらに探求してみてください。また、「人魚」については 第五話 その3 として別掲したいと思っています。

  第五話 ―海の怪物(魔物・妖怪) その1 日本編  「おわり

次回は第五話 その2 海外編 です。

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