ーときの話題ー §53
1 海上保安レポート2026 発刊
2「メイオベントス」ってなに?
3気になるニュース・トピック・心配ごと
⑴ 対酷暑!(日本の夏の伝統海産物のいろいろ)
⑵ PFOS・PFOAだけではもう古い ⇒ sum4PFASの時代へ!
⑶ 令和8年熊本地震
⑷ MSJC focus on!
➀ 離島航路を担う船会社を行政処分⁈
➁ 航海日当不正受給(海上保安庁)
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1 「海上保安レポート2026」発刊
6月下旬、「海上保安レポート2026」が発刊されました。(¥1,540=本体価格1,400円+税10%)
概要(主なタイトルのみ)
はじめに(INTRODUCTION)
「TOPICS」海上保安の一年 ⇒ 13の項目
特集 海と命を支える、新しい仲間を求めて
- 特集1:海と命を支えるプロフェッショナル ⇒ 現場の職員の役割や、海難救助・領海警備の実務が紹介されている。
- 特集2:未来を拓く新技術 ⇒ 無人艇、危険物探知技術、情報連携システムなど、導入が進む新技術の概要を紹介。
- 特集3:勤務環境の改善 ⇒ 勤務時間の柔軟化、オフィス環境の改善など、働き方改革の取り組みの現状。
- 特集4:新しい仲間を求めて ⇒ 採用広報の強化、教育体制の紹介など、海上保安庁の人材確保戦略。
海上保安庁の任務・体制
1 海上保安庁の任務、2 我が国周辺海域を取り巻く情勢、3 海上保安能力強化の方針の決定、4 機構 5 定員、 6 予算、7 装備、8 情報通信、9 観察、 10 政策評価、 11 広報、12 全国各地の海上保安庁関係施設、13 船艇の配備、14 航空機の配備
<以下、Ch.=chapter=「章」? 「海上保安レポート2026」掲載の区分による。>
1 生命を救う
Ch.Ⅰ〔海難救助の現況〕、 Ch.Ⅱ 〔救助・救急への取組〕。
2 治安の確保
Ch.Ⅰ 〔海上犯罪の現況〕、Ch.Ⅱ 〔国内密漁対策 〕、 Ch.Ⅲ〔外国漁船による違法操業への対策〕、 Ch.Ⅳ〔密輸・密航対策〕、Ch.Ⅴ〔テロ対策〕、Ch.Ⅵ〔海賊対策〕。
3 領海・EEZを守る
Ch.Ⅰ〔海洋に関する国際的なルール〕、Ch.Ⅱ〔尖閣諸島周辺海域の緊迫化〕、Ch.Ⅲ〔予断を許さない日本海大和堆周辺海域〕、Ch.Ⅳ〔海洋権益確保のための海洋調査〕。
4 青い海を守る
Ch.Ⅰ〔海洋汚染の現況〕、 Ch.Ⅱ〔海洋環境保全対策〕。
5 災害に備える
Ch.Ⅰ〔事故災害対策〕、 Ch.Ⅱ〔自然災害対策〕。
6 海を知る
Ch.Ⅰ〔海洋調査〕、 Ch.Ⅱ〔海洋情報の管理・提供〕。
7 海上交通の安全を守る
Ch.Ⅰ〔海難の現況〕、Ch.Ⅱ〔ふくそう海域・港内等の安全対策〕、Ch.Ⅲ〔マリンレジャー等の安全対策〕、Ch.Ⅳ〔航行安全のための航路標識と航行安全情報の提供〕。
8 海をつなぐ
Ch.Ⅰ〔「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けたグローバル連携〕、Ch.Ⅱ〔各国海上保安機関との連携・協力〕、Ch.Ⅲ〔諸外国への海上保安能力向上支援等の推進〕、Ch.Ⅳ〔国際機関との協調〕。
語句説明
以上
海上保安レポートを読むことの意味
海上保安レポートを読むということは、単なる「情報収集」だけではなく、私たちが暮らす海の現実を直視し、国の安全保障や海洋環境の未来を自分ごととして受け止めるという、静かだが確かな主体性が見えてくる。海難、密漁、領海警備、環境犯罪等々、海上保安官が向き合う課題の多くは、どれもが国民の日常の外側にあるように見えるものの、実は社会の根幹を支える基盤そのものに他ならない。
我が国にとって海は、国境であり、資源であり、生命線であり、未来そのものです。 海上保安レポートを読むことは、その未来に眼差しを向ける静かで力強い一歩になり得ます。
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2 「メイオベントス」ってなに?
メイオベントス〔meiobenthos:小型底生生物 ≒ メイオファウナ(meiofauna)〕とは、砂や泥の隙間にすむ 32〜63 µm〜1 mm の極小の底生生物の総称で、物質循環や環境評価に重要な役割を果たしています。分類ではなくサイズで定義される生物群のため、多様な生物が含まれ、海だけではなく、川や湖、沼の底質に広く分布しています。(µm〔マイクロメートル、1µm=10⁻⁶ m、ex.髪の毛の太さはおよそ 50〜100 µm)
生態系での役割
- 底質の物質循環:有機物分解、窒素循環、微生物との相互作用など。
- 環境指標として有用 :汚染・富栄養化・酸素状態を敏感に反映する。
- 未記載種の宝庫: DNA解析で隠蔽種が大量に見つかっている。
どんな動物が生活しているのか?
- 線形動物(Nematoda・センチュウ)
- 海産線形動物(海産線虫):海底の砂や泥、海藻の表面にすむ微小な糸状の動物です。 体はクチクラ(:タンパク質由来の硬い外皮)で覆われ、表面に環節状の縞模様がある種も多く見られます。多くは 1 mm 前後、浅海から深海まで、砂粒の隙間や海藻表面に生息する。メイオベントスの主要構成種であり、底質の有機物分解・物質循環に重要な存在です。
- カイアシ類(Copepoda・ソコミジンコ):体は細長く、多くは 1〜2 mm の微小プランクトンで、頭胸部+腹部に分かれ、触角が長い(泳ぐために使う)。多くの種が単眼(額の赤い点)があり、大きな種は動物プランクトンの主役となっています。

カイアシ類の画像(出典:ウィキぺディア、CC表示-継承禁止3.0 Unportedライセンス)
(著者・ウーヴェ・キルスさん)・not edited.
- 扁形動物(プラナリアの仲間):日本で「プラナリア」と言えばほぼ淡水種(Tricladida)を指すそうですが、海性のプラナリア(ウズムシ・ヒラムシ〔Polycladida〕も岩礁地帯の潮間帯(潮の満ち引きによって“海水に浸かったり、陸上に現れたりする海岸の帯状の区域)あるいは海藻の下や砂の中~深海に生活している。〔プラナリア:扁形動物に属する再生能力が極めて高い淡水性の小型動物” が中心ですが、最新研究では生殖様式転換や極限環境への耐性など、多様な生物学的特徴が明らかになってきています。〕
- ウズムシ:体は扁平で柔らかく、紡錘形・葉状・ひも状など体形はいろいろ、体表に繊毛があり、これを動かして移動する。肛門がなく(扁形動物の特徴)口は腹側にあることが多い。
- ヒラムシ:扁形動物門・多岐腸目に属する海産のウズムシを指す。体は極めて薄く平たく、色彩が赤・黄・黒・虹色などと派手で、ひらひらと独特な動きで泳ぐ。多くは小型の無脊椎動物を捕食しています。
- 腹毛動物(オビムシ目)

腹毛動物(オビムシ目)の画像(出典:ウィキぺディア、CC 表示3.0 非移植ライセンス)
(著者:M. アントニオ・トダロ、マッテオ・ダル・ゾット、サラ・J・ボウネス、レンゾ・ペリッシノット)・not edited.
(doi:10.3897/zookeys.142.2036)
腹毛動物の特徴
体長は0.1〜3 mm、腹側に繊毛が密集していて背側には繊毛がほとんどない。多くが海産で浅海の潮間帯の砂の間に生息し、間隙性生物と呼ばれています。
- イタチムシ(毛遊目):イタチムシ目(Chaetonotida)は淡水種が多いものの、海水域にも生息する種(Macrodasyida)が知られています。

イタチムシの画像(出典:ウィキぺディア、CC表示-継承禁止3.0 Unportedライセンス、en:Image:Gastrotrich.jpg)
(著者:ジャスパー・ナンスさん)・not edited.
- 緩歩動物(クマムシ):極限環境にも耐性を有する生物として知られるようになりました。
クマムシは 「緩歩動物門(Tardigrada)」 に属する、体長0.1〜1.7 mmほど、8本足の極小動物で、乾眠(クリプトビオシス〔 cryptobiosis:生物が「ほぼ完全に代謝を止めて仮死状態になる」生存戦略のこと。〕 乾燥・極低温・真空などの「本来なら死んでしまうような環境」をやり過ごすためのモード)によって極限環境に耐えることで知られる 「地球最強の生物」と呼ばれ、<熱帯から極地、超深海底から高山、温泉の中まで、海洋・陸水・陸上のほとんどありとあらゆる環境に生息する(Wikipedia)>。海辺の砂浜にも海産のクマムシ(Marine tardigrades)が生活しています。

クマムシの画像(出典:ウィキぺディア、CC表示-継承禁止3.0 Unportedライセンス)
(著者:ボブ・ゴールドスタインとヴィッキー・マッデン、UNCチャペルヒル)・not edited.
- 動吻動物(どうふんどうぶつ:Kinorhyncha)
海底の砂粒のすき間に生息する体長0.2〜1 mmの極小無脊椎動物で、頭部の「棘(スパイン)」を砂に引っかけて延び縮みしながら前進する独特の動きをもつ海産メイオファウナです。砂粒表面に付着している細菌(バクテリア)や微小藻類(珪藻など)、デトリタス(有機物のかけら)などを食べている。

動吻動物の一種(ヤギツノトゲカワ:Echinoderes hwiizaa)の画像(出典:ウィキぺディア、CC表示3.0 非移植ライセンス)
(著者:山崎浩 & 藤本慎太・Wikispecies・ZooKeys・元画像を左転、トリミングしています。)
メイオベントスという「砂の隙間の生き物」を知ることは、私たちが普段見過ごしている海の豊かさを再び意識することに他なりません。目には見えない小さな生命が、海を支え、世界を支えている。その事実に気づいた瞬間、海を見る眼差しが少しだけ変わるはずです。メイオベントスに関する研究は「見えていなかった生物の多様性が一気に可視化され始めた段階」で、この10〜15年で技術が劇的に進み未記載種が次々と見つかっており、今後の展開が楽しみです。もしかしたら、動物進化の初期像を再構成しなければならないような新しい発見があるかもしれません。
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3気になるニュース・トピック・心配ごと
⑴ 対酷暑!(日本の夏の伝統海産物のいろいろ)
日本の海は、酷暑にも強い食材の宝庫です。伝統的食文化をもとに「対酷暑・日本の夏の伝統海産物」を紹介します。
1 昆布・わかめ
昆布・わかめは、心血管疾患リスク低下・腸内環境改善・血圧調整・免疫調整に寄与する「海のスーパーフード」と呼ばれています。ただし、昆布については、ヨウ素の過剰摂取予防のため、1日1g以下(=乾燥重量)とするなど大量摂取には注意が必要です。
- カリウム・カルシウム・マグネシウム・水溶性食物繊維・フコダイン・アルギン酸が豊富に含まれ、汗で失われるミネラル補分の補給や代謝機能、胃・腸内の環境保護に役立ちます。
- 水溶性食物繊維が体温上昇を抑える。
- 冷やし味噌汁・酢の物・サラダにも最適。
2 しじみ・あさり
- タウリン・鉄・ビタミンB12群・オルニチン・亜鉛による「肝臓機能改善・疲労回復・貧血対策・免疫力向上」への総合的メリットが大きい。 特に しじみ=肝臓、あさり=貧血対策 に有効です。
- 冷たい味噌汁・スープが酷暑向き ⇒ 一旦加熱後冷却する。(貝毒予防)
- 食べ過ぎ不可 ⇒ プリン体の摂取抑制
3 イカ
- 高タンパク・低脂肪・タウリンが豊富」で、ミネラル・ビタミンもバランス良く含む「非常に優秀な海産物」と言えます。高タンパク・低脂肪で消化が良い。タウリン、ビタミンB12も豊富 = 暑さで弱った胃腸への負担が少ない。
- イカそうめん・イカときゅうりの酢の物・イカの冷天ぷら(冷たい天つゆで食べる)・イカの冷製カルパッチョ(イカ+レモン+オリーブオイル+塩+トマト+バジル=洋風イカそうめん)。
4 タコ
- タウリンの含有量が海産物のなかでもたいへん多く、疲労回復に効果があるほか、肝機能の強化、コレステロール低下、血圧の調整にも有効。
- ミネラル分(亜鉛・銅・カリウム・マグネシウム・リン)、ビタミン類(B12・ナイアシン・ビタミンE)、コラーゲン〔皮や吸盤に多い〕の補給に最適。
- タコときゅうりの酢の物・タコの冷製カルパッチョ・タコの冷製ガーリックオイル和え・タコの冷しゃぶ(薄切りゆでダコ+冷やしたポン酢+オクラ・ミョウガ)・タコの冷唐揚げ
5 ところてん
- 酷暑に対する適性は◎。
- 約95%が水分で体温を直接下げる。
- 海藻(テングサ)由来でカリウム・マグネシウムなどミネラル補給に最適。
- 酢と合わせると疲労回復効果が倍増する。
- 「ところてん」に含まれる「ヨウ素」について。
- 「ヨウ素」は甲状腺ホルモンの材料 → 胎児〜乳児の脳の発達に必須。新陳代謝・体温調整。
- 不足しても過剰となっても問題 → 適量が重要です。
- 「ところてん」は原料の「てんぐさ」を煮詰めるので原材料よりヨウ素含有量が大幅に少ない。
- 酷暑対策として「ところてん」を毎日食べても ヨウ素過剰摂取の心配はほぼないとされています。〔毎日食べても耐容上限量(3,000 μg/日)を大きく下回る。〕
6 海苔
- 海苔の主な効用
- ビタミンA・B12・Cが豊富に含まれる。
- 鉄・亜鉛・ヨウ素などミネラル分も多い。
- 食物繊維が多く腸に優しい。
- 抗酸化成分(β-カロテン)は免疫力維持に有効。
- 海苔料理
- 冷やし海苔茶漬け・海苔ときゅうり和え物・海苔の佃煮・海苔チーズ卵焼き・冷やしうどん・おにぎりなど。
7 ホタテ(貝柱)
- 主な栄養素
- 高タンパク質・タウリンが豊富・亜鉛・鉄・銅などのミネラルが多い・ビタミンB12が多く、貧血予防に有効・低脂質・低カロリー・グリコーゲン(疲労回復)
- 酷暑向けのホタテ料理
- ホタテのカルパッチョ(レモン+オリーブオイル)・ホタテとアボカドの冷製サラダ・ホタテとトマトの冷製パスタ・ホタテの冷製だし茶漬けなど。
8 めかぶ(わかめの根元部分)
- 特徴的な栄養素
- 水溶性食物繊維(フコイダン・アルギン酸)・ビタミンK・葉酸・βカロテン・マグネシウム・ヨウ素など
- 酷暑向け「めかぶ」料理
- 「めかぶ」と「とろろ」の冷蕎麦・めかぶときゅうりの冷やし酢の物・めかぶの冷茶漬け・ぬた(酢味噌で和えた日本の伝統的な和え物〔具材は地方によっていろいろ。例、「あさり」・「まぐろ」の角切りなど〕)。
9 鰻(ウナギ)
- 主な栄養素
- ビタミン類
- ビタミンA(レチノール):皮膚・粘膜の保護、免疫維持、目の健康。
- ビタミンB群(B1・B2):糖質・脂質の代謝を助ける。
- ビタミンD:カルシウム吸収を促進、骨の健康維持。
- ビタミンE:抗酸化作用、血流改善・老化防止
- 脂肪酸
- DHA(ドコサヘキサエン酸):脳・神経・網膜の主要成分。
- EPA(エイコサペンタエン酸):抗炎症・血液サラサラ・中性脂肪低下。
- ミネラル:カルシウム・鉄・亜鉛。
- ビタミン類
- 主な料理
- 蒲焼き・うな重/うな丼・ひつまぶし・白焼き・せいろ蒸し・肝吸いなど。
10 アナゴ(穴子)
前記のウナギは「高脂質でスタミナ食」、アナゴは「軽くて上品な白身」ということになるのでしょうか?両者ともに「細長い魚」ではありますが、栄養価を比較すると
- カロリー(100gあたり、以下同じ。):ウナギ⇒約228〜255 kcal・アナゴ⇒約146〜161 kcalでウナギの方が高カロリーです。
- タンパク質:ウナギ⇒17.1〜19.3 g・アナゴ⇒17.3 gで、ほぼ同等。
- 脂質:ウナギ⇒19.3〜25.8 g・アナゴ⇒9.3 gでウナギは脂質がアナゴの約2〜3倍。
- ビタミンA:ウナギ⇒非常に豊富(魚類でもトップクラス)・アナゴ⇒ウナギほど多くない。ウナギはビタミンAが圧倒的に多い。
- DHA/EPA(不飽和脂肪酸):ウナギ⇒DHA・EPAとも豊富・アナゴ⇒DHAは比較的多いが総量はウナギに劣る。
- ミネラル:ウナギ⇒カルシウム・鉄・ビタミンB群が豊富・アナゴ⇒カルシウム・鉄・ビタミンEが多い
ウナギは高脂質・高ビタミンAでスタミナ食、アナゴは低脂質・高タンパクで軽く食べられるヘルシーな魚といえます。
アナゴの主な料理
煮アナゴ(寿司ネタ)・穴子丼(煮アナゴの丼)・白焼き・穴子天ぷら・穴子の蒲焼き・穴子の煮付け・穴子の押し寿司(関西)・穴子の茶碗蒸し・穴子の吸い物など。
アナゴの主な産地
アナゴは太平洋沿岸に広く分布し、特に銚子(千葉県)・小柴(横浜)・三河湾・瀬戸内海が主要産地として知られています。 東京湾はかつて江戸前アナゴの名産地でしたが、近年は資源減少が深刻な状況になっています。 一方、高知沖は近年漁獲が回復傾向にあり、質の良いアナゴが水揚げされています。
アナゴで充分!
日本の沿岸には、世界でも稀に見る豊かなアナゴの好漁場があります。脂が軽く、上品で、鮮度の良い天然アナゴが日常的に手に入る国はそう多くありません。だからこそ、無理に外国産のウナギを選ばなくても、日本産の天然アナゴだけで十分に海の恵みを味わえるのだと思います。特別な日にウナギを楽しむのは良いとしても、普段の食卓ではもっと気軽にアナゴを選んでもいい。日本の海が育てた魚を、日本の食文化の中で楽しむ・・その豊かさを、これからも大切にしていきたいと思います。
⑵ PFOS・PFOAだけではもう古い ⇒ sum4PFASの時代へ!
sum4PFASってなに?
日本で「PFAS」といえば、
- PFOS:半導体用反射防止剤・レジスト(電子回路基板を製造する際に表面に塗る薬剤)や泡消火薬剤など。
- PFOA:フッ素ポリマー加工助剤(ほかのフッ素化合物を製造する際に、化学反応を促進させるために添加する薬剤)や界面活性剤など。
- PFHxS:PFOS・PFOAの代替品として使用されてきた物質で、PFOS・PFOAと同様、環境中での残留性が高いことが懸念され、また、環境中で分解されにくく、近年は検出頻度が上昇している。国際的な規制対象となり、日本でも製造・輸入が原則禁止されている。
となりますが、欧米ではすでに上記の3物質に新たにPFNA(:パーフルオロノナン酸=炭素数9の長鎖PFASで、従来のPFOS・PFOAより鎖が長く、環境残留性・生体蓄積性がさらに高い。日本では要調査物質となってはいるものの水質基準には未採用。)を加え、「sum4PFAS」として規制の対象となっています。
規制の現状
- 日本のPFAS規制(2026年時点)
- 水道水の基準(2026年4月〜):PFOS+PFOA 合算 50 ng/L(暫定目標値)〔ng/L:ナノグラム毎リットル、ng=ナノグラム=1グラムの 10⁻⁹(10億分の1)、L=リットル、⇒ 1リットル中に何ナノグラム含まれているかを示す濃度単位。以下同じ。〕
- 米国のEPA(米国環境保護庁)のPFAS規制(2026年時点)
- EPAは2024年にPFASの国家一次飲料水規制を制定し、 2026年時点でも 基準値は維持 されている。
- 最大許容濃度(MCL)
- PFOA:4 ng/L
- PFOS:4 ng/L
- PFHxS:10 ng/L
- PFNA:10 ng/L
- GenX(HFPO‑DA):10 ng/L ⇒ PFOAの代替として使われた「新世代PFAS」だが、毒性が強く、米国EPAが厳しく規制している物質。
- PFBSなど混合物:Hazard Index方式 ⇒ (PFBS:PFOSの代替として使われた炭素数4の短鎖PFAS。・Hazard Index方式:複数のPFASの「合算毒性」で規制値を判定するEPAの手法で、単一物質ごとに基準値を決めるのではなく、複数PFASが同時に存在する場合の総合リスクを評価するために導入された仕組み。→ 複数PFASが少量ずつ入っていても、合計で健康影響が出る可能性があればアウトとする。
- 最大許容濃度(MCL)
- EPAは2024年にPFASの国家一次飲料水規制を制定し、 2026年時点でも 基準値は維持 されている。
- EU諸国のPFAS規制(2026年時点)
- 2026年1月:全加盟国でPFASモニタリングと報告が義務化された。閾値超過時は、井戸閉鎖・浄水処理追加・利用制限などの措置をとり、住民へ情報提供される。
- EUでは2026年から、飲料水中PFASを「代表20物質の合計100 ng/L」と「全PFAS総量500 ng/L」の二重閾値で規制し、全加盟国に系統的モニタリングと超過時の是正措置を義務づけている。
- 代表20物質=PFCA(パーフルオロアルキルカルボン酸:炭素数4〜13)14物質+PFSA(パーフルオロアルキルスルホン酸:炭素数4〜10)6物質
- WHO(世界保健機関)のPFAS規制値(2026年時点)
- WHOは2022年に飲料水ガイドライン(GDWQ)を更新し、 主要PFAS4物質について 健康ベース値(HBV〔Health‑Based Values〕:WHOが科学的根拠に基づき「この濃度なら健康影響のリスクが極めて低い」として示す指標で、飲料水などの安全性評価に使われる。法的規制値ではなく、各国が基準を作る際の参照値) を提示した。 2024〜2026年もこの値が国際標準として維持されています。
- 個別物質のHBV(健康ベース値)
- PFOA:100 ng/L
- PFOS:400 ng/L
- PFHxS:300 ng/L
- PFNA:30 ng/L
- 合算値(Sum of 4 PFAS)
- PFOA + PFOS + PFHxS + PFNA≤500 ng/L ⇒ WHOはこの4物質を「代表的PFAS」として扱い、 合計500 ng/L以下であれば健康影響は低いと評価している。
- 個別物質のHBV(健康ベース値)
- WHOは2022年に飲料水ガイドライン(GDWQ)を更新し、 主要PFAS4物質について 健康ベース値(HBV〔Health‑Based Values〕:WHOが科学的根拠に基づき「この濃度なら健康影響のリスクが極めて低い」として示す指標で、飲料水などの安全性評価に使われる。法的規制値ではなく、各国が基準を作る際の参照値) を提示した。 2024〜2026年もこの値が国際標準として維持されています。
日本ではなぜ「暫定目標値」のままなのか?
日本がPFASの暫定目標値を維持しているのは、「科学的知見が国際的に安定しておらず、法的基準を固定すると数年で不整合が生じる可能性が高いため。暫定値なら自治体が柔軟に対応でき、財政負担も抑えられるから」。
- 厚労省(飲料水)
- 毒性評価が国際的に不安定 → 暫定目標値維持。
- 基準化すると全国の浄水場に巨額コストがかかる。
- 科学的知見が固まるまで柔軟運用に留まる。
- 環境省(公共用水域・地下水)
- 国際評価が揺れている → 確定値は困難 →暫定目標値維持。
- 地域差大きいため「暫定目標値」としたままで自治体が柔軟に対応できるようにする。
- 監視強化のための指針値として運用している。
- 政治レベル(日本政府)
- 各省の専門判断を承認するに留める。
- 日本独自の規制方針は示さず、「暫定目標値」の運用を追認している。
日本のPFAS規制の行方?
日本のPFAS規制は現在、厚労省と環境省が設定した「暫定目標値」を中心に運用されています。これは、国際的な毒性評価がまだ安定しておらず、基準を固定すると数年で不整合が生じる可能性が高いという行政判断に基づくものです。加えて、地域ごとの汚染状況には大きな差があり、全国一律の基準化は過剰規制と過少規制の両方を招きかねず、浄水場の設備更新に伴う巨額のコストも、暫定目標値維持の背景にあります。
しかし、こうした「暫定的運用」は永続するものではありません。将来の方向性を読み解く鍵は、国際動向にあります。WHOはPFASの健康ベース値(HBV)を段階的に見直し、EUはPFASを物質群として包括規制する方向へ進んでいます。米国EPAは極めて厳しい水道水基準を設定し、世界的に規制強化が加速しています。日本は従来から、WHOの評価を重視する傾向があるため、国際的なコンセンサスが固まれば、暫定値から正式な基準値へ移行する可能性が高いと思われます。
ただし、日本の規制は「段階的」に進み、汚染地域の監視強化と設備更新支援が先行し、その後全国の水道事業者に検査義務を広げ、最終的に全国一律の基準値を適用するというフェーズ制が現実的なプロセスです。これはアスベストやダイオキシン規制でも見られた、日本の典型的な政策導入パターンですが、国際的な潮流を踏まえれば、総量規制やグループ規制が導入される可能性は高い。
⑶ 令和8年熊本地震
熊本県宇城市・氷川町で震度7を観測したM7.1の横ずれ断層型地震で、布田川(ふたがわ)・日奈久(ひなぐ)断層帯周辺が震源域となった。人的・住家・インフラ被害は広範囲に及び、余震活動も長期間続いている。地震本部(=地震調査研究推進本部)では、布田川・日奈久両断層帯はそれぞれ別の断層帯として区分していますが、地震学的には「連続した一体の断層系」と総称されています。

布田川・日奈久断層帯の位置図(出典:ウィキぺディア、PD)
〔地震調査委員会(2013年)作成〕・not edited.
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震央分布図〔出典:気象庁・令和8年熊本地震について (令和8年8月10日14時00分時点)より〕・not edited.
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主な地震活動との回数比較〔出典:気象庁・令和8年熊本地震について (令和8年8月10日14時00分時点)より〕・not edited.
この地震での心配なこと
1 大型商業施設の爆発事故の原因究明と二次災害の防止。
経済産業省や警察・消防による合同調査の結果、「地震の揺れにより建物内のLPガス(液化石油ガスの配管が損傷し、漏洩、滞留したガスが何らかの火種により着火・爆発した可能性が高い。」と発表されています。また、二次災害の防止のため、ガス漏れ警報時等には、「一旦避難した後に、安全が確認されるまでは、危険箇所(建物内)に絶対に立ち入らない。」というような原則の徹底周知が必要で、避難経路の確認などとともに従業員への教育と訓練も必須項目と思うのですが?
委員会形式の事故調査機関が設置されていない中で、事故原因究明に関する総合的な「事故調査報告書」はどこが責任をもって作成するのでしょうか?
経済産業省(=九州産業保安監督部)?、業界団体(日本ガス協会・日本ガス保安協会)?、ガス供給事業者?、事業者(=商業施設運営会社)?、このうちガス供給事業者は「ガス設備の安全点検、保安指導」「ガス漏れ時の緊急対応」「警報器の設置・維持管理の助言」等が任務。 ⇒ 高圧ガス保安法では、 ガス漏れ・爆発などの事故が発生した場合、事業者は「事故報告書」を作成し、都道府県を通じて経産省へ提出する義務があるそうですが、これは「事故調査報告書」とは別物だそうで、さらに事業者(=商業施設運営会社)は法律上の一次責任者で、従業員教育等の一次責任は事業者にあるとされています。「ガス漏れ警報時の避難手順」「危険区域への立入禁止の徹底」「警報器作動時の緊急連絡ルートの設定」「地震後のガス設備点検の実施」「従業員向けの定期訓練(避難訓練・ガス漏れ対応訓練)の実施」などが含まれます。
大規模商業施設を建設する際の、施設で使用される「可燃ガス」(LPG・LNG)の種類に応じた建造物の設計基準などはどこが所掌するのか見えてこない。可燃ガスそれぞれの特性に応じた「検知器に連動した排出装置」の設置を義務付けなければ「安全・安心」は空念仏に等しい。
2 日奈久断層帯南部(八代海南部)に震源が異常に少ない。 ⇐ 「震央分布図」参照。
余震が日奈久断層帯北部に集中し、南部に震源が少ないことは「未破壊区間が残っている」ことを示し、地震学者は南側の八代海区間のリスクを強調している。また、「今回の地震は2016年の地震の『割れ残り』が動いた可能性が高いとして、断層帯全体の応力変化を慎重に見極める必要がある。」としています。
⑷ MSJC focus on!
① 離島航路を担う船会社を行政処分⁈
離島定期航路に従事する旅客船乗組員の「酒気帯び状態での当直勤務」 と 「アルコール検査の身代わり受検」、「旅客乗船口を閉じずに運航」の事実で、国土交通省は事業停止命令 を含む重い行政処分を検討している旨の報道がありました。
何があったのか?(報道ベース)
- 酒気帯び状態での当直勤務。
- 複数の船で、乗組員が酒気帯びのまま当直勤務に就いていたことが監査で判明した。
- アルコール検査の身代わり受検。
- 本人ではない別人が検査を受ける「身代わり受験」が確認された。
- 旅客乗船口を閉じずに運航していた。
- 旅客の安全確保上の重大な違反行為となる。
- その他の法令違反も複数確認された。
行政(国土交通省)の対応
- 事業停止命令・安全統括管理者の解任命令の方針を決定。
- 8月中に会社側の弁明を聞く聴聞会を実施し、正式処分を最終決定する。
- 事業停止は主要航路にも及ぶ可能性があり、生活路線が対象となり得るとしている。
同社は過去にも行政指導や警告を受けていた。
過去5年間の運航阻害や重大トラブルは、主に高速船で発生した運航不能・機関停止・整備不備・操練未実施などの安全管理上の問題を中心として複数回ある。特に2024年の高速船漂流事故は整備ミスと乗組員の操作誤りが重なった事案で、国交省の警告処分につながった事例がある。
特別調査委員会の設置?
8月初旬、会社は「特別調査委員会」なるものを設置する旨を公表した。委員会の構成メンバーは有名大学の教授を委員長として、有名法律事務所の弁護士2名が名を連ねているのみで、一般的な意味での「第三者委員会」とは性質が異なる。構成メンバーを見る限り「行政の処分に対する防御・抵抗」の色彩が濃いと評価せざるを得ず、対応策を取りまとめるための「社内の対策本部」に近い。
本件は、単なる不祥事ではなく、国や自治体から「航路維持のための補助金の交付を受けている公共交通インフラを担う企業」としての最低限の安全文化すら機能しなかったことを露呈した。「離島航路だから処分を慎重に」などという国交省の姿勢は本末転倒であり、生活路線でもあるがゆえに、むしろ「厳重な処分」と「安全意識の再構築」が求められる。 「海上交通の安全・安心」は決して疎かにしてはならない。
➁ 航海日当不正受給(海上保安庁)
海上保安庁の航海日当は、国家公務員の給与法と人事院規則で定められた「特殊勤務手当(航海手当)」を根拠として、海上保安庁の内部規程に基づき航海勤務日数に応じて船艇職員に支給される制度です。今回の不正は、この内部規程の運用が形骸化し、勤務記録の虚偽記載が横行したことが原因となったとされている。
不正の規模
- 対象者の人数:3,000〜3,300人以上。
- 不正受給の総額:約3,700万円。
- 対象期間:2021年4月〜2024年6月。
- 海上保安庁の歴史の中でも最大規模の不正とされています。
処分の内容
- 巡視船の船長59人(戒告・減給)を含む管区本部の管理職等多数の職員が懲戒処分を受けた。
- 不正受給額の国庫への返還命令。
- 海上保安庁長官自身も処分対象(管理監督者責任)となりました。
本件を通じて、勤務実績の確認手続と内部統制の脆弱性が明確となった。海上保安庁は、関係規程の見直しと監督機能の強化を継続的に実施し、組織の信頼回復に向けた取組を着実に進めることが求められる。また、海上保安官は国家公務員であるのだから不正受給は税金の不正取得に他ならず、本質的には公金搾取である。海上保安庁が部内処分のみで終わらせる場合もありますが、悪質な虚偽記載や組織的関与があれば今後、刑事告発・会計検査院の介入・国会での追及など、部内処分を超える責任が問われる可能性がある。
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四方海話97 ーときの話題ー§53 おわり
つぎは 四方海話98 ーときの話題ー§54 です。

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